おしりの悩みはデリケート。特に「痔」に悩む人は多く、痛みや違和感があっても、市販薬だけに頼ったり放っておいたりして悪化するケースは少なくありません。肛門疾患と大腸の専門医・金武外科肛門科(佐賀市)の金武良憲院長は、「適切な治療を行えば治ります。大腸がんなど他の病気が原因の場合もあるので、我慢せず早めに相談して」と話します。痔とその原因、治療法について聞きました。

■痛み、出血、「何か出てくる」が痔の症状

 

 肛門疾患に多いのが、通称「いぼ痔」といわれる痔核、「きれ痔」と呼ばれる裂肛、肛門管の奥に細菌が侵入し、膿がたまったあと、しこりのような管になる「痔ろう」の3つです。

 痔核には肛門内にできる「内痔核」と外側にできる「外痔核」がありますが、特に多いのが内痔核。粘膜にできるので他と比べて痛みが少なく、排便時や歩行時に、肛門から「何か出てきた」と感じて気づく場合がほとんどです。指で押し戻せるので放っておく人もいますが、悪化の原因です。外痔核や裂肛と合併すると、ひどい痛みや驚くような出血に慌てて受診する人もいます。

 出血の症状は大腸がんが原因のこともあります。当院では大腸内視鏡検査ができる設備があり、疑いがある場合は同時に検査して病気を見極めます。いずれにしても、軽度でも気になる症状があれば早く専門医に相談してください。

■長年の生活習慣が原因

 

 肛門疾患は性別や年齢にかかわらず誰にでも起こりますが、主な原因は生活習慣です。特に排便習慣によるものが大きく、40~50代から増加の傾向です。内痔核の場合、排便時の力みや便秘、下痢の刺激によって肛門を支える組織が断裂し、緩むことで痔核が肛門の外に飛び出すようになるといわれています。長時間便器に座ったり、力んだりする排便習慣が肛門疾患の原因になります。便意がある時にトイレに入り、腸の自然な動きで排便する習慣を身に付けましょう。便秘や下痢を繰り返す人も要注意。食生活や生活習慣の見直しも兼ねて、一度専門医に相談してみましょう。

■慢性化させない便秘の新薬登場

 

 便秘は、腸に長く停滞した便が硬くなって出にくくなる症状です。女性に多く、70歳を過ぎると男性も女性と同じように増えてきます。

 市販薬や処方された下剤を飲んで安心する人もいますが、常用すれば慢性化し、強い下剤でも効かないという悪循環に陥ることもあります。便秘用のお茶も下剤の一種です。毎日飲むと慢性化する可能性もあるので気をつけましょう。

 便秘の症状は人それぞれ。当院では生活習慣や食事の指導に加え、症状に合った薬を処方しています。最近では、数十年ぶりに便秘の処方薬が出ました。小腸から腸液の分泌を促し、便を軟らかくして生理的に腸の動きで排便させようという働きをします。慢性化させない飲み薬なので安心して使えます。

■痔のほとんどは投薬・手術で治る

 肛門疾患の治療は、便秘や下痢を治し、「力み過ぎない」「アルコールを飲み過ぎない」など、食事や生活習慣の見直しと併せて、医学的には投薬療法や手術を行います。痔核や裂肛の場合、ほとんどが飲み薬と塗り薬で良くなります。痔核がひどい場合は手術や局部注射で薬を注入する新しい治療法もあります。痔ろうも手術で再発を防ぐことができ、1カ月くらいで回復します。

 当院は専門医として豊富な経験と実績をもとに、一人ひとりの症状に対して検査と診療で原因を見極め、適切な治療を行っています。少しでも気になることがあれば気軽に相談してください。

【Memo】HPにセルフチェック情報

 当院のホームページ内に、「こんな症状のときは」として、簡単に肛門疾患のセルフチェックができる情報を掲載。「何か肛門が飛び出してくる」「肛門が痛い」「便が細い」などイラストを添えて分かりやすく紹介しています。当てはまる症状があれば早めに相談を。

医療法人 金武外科肛門科 院長

 

金武 良憲

かなたけ よしのり 1998年、北里大学医学部卒業後、日本大学医学部消化器外科の医局に入局。2003年から埼玉県の所沢肛門病院に3年半勤務。06年から医療法人金武外科肛門科の副院長として勤務し、16年2月、同院院長に就任。大腸肛門病専門医。

 
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