佐賀市が整備するJR佐賀駅周辺。西友佐賀店の撤退が決まり、隣の駐車場では民間ビルの開発計画が進んでいる(ドローンで撮影)

 駅南北の広場を多くの市民が行き交う。木陰のベンチに腰を下ろして休憩するビジネスマンや、聖フランシスコ・ザビエル像前で待ち合わせする高校生―。大分市のJR大分駅は、2015年の駅ビル「JRおおいたシティ」開業以来、活気づいている。

 駅の高架化に伴い、大分県、市、国土交通省の3者は20年の歳月と約1800億円を投じて区画整理を伴う大規模な再開発を進めた。「100年に一度の大事業」(大分市)は昨年度末に完了。区画内の人口は06年から10年で1・7倍の約4200人に増えた。

■ 衰退続く

 佐賀市は、22年度の九州新幹線長崎ルートの暫定開業、23年の佐賀国体を見据えJR佐賀駅周辺整備を進める。駅の高架化は70年代に完了しており、大分駅の規模には及ばないものの、「交通」と「交流」の両立を目指す点は共通する。

 佐賀駅の出入り口は南北とも目の前にタクシー乗り場が広がる。人が集まり、憩うスペースがなく、県都のにぎわいは感じられない。14年の市民2千人アンケート(回収率38・2%)で駅周辺を「魅力的」と答えた人はわずか6%。数字が現状を物語る。

 さらに駅前の西友佐賀店が来年3月末までに閉店する。近くで喫茶店を営む女性(77)は「毎日利用しているのに、食材の調達ができなくなる」。コーヒーをいれる手を止め、「店を続けられるかどうかも考えないと」。衰退する流れは止まっていない。

■トラウマ

 駅周辺整備は市の「誤算」もあり、当初の計画通りには進んでいない。秀島敏行市長が3期目の目玉公約に掲げたコンベンション整備計画は、地権者であるJA佐賀市中央との協議がまとまらず、昨年9月に白紙撤回した。

 民間開発に”便乗”する形での施設整備にこだわる背景には、中心街の再開発ビル・エスプラッツの閉鎖という市政の「トラウマ」(市幹部)がある。

 西村正俊市長(故人)時代に着手した事業は、98年のオープンからわずか5年で1~3階の商業床が閉鎖。市は出資金や損失補償、建設費だけでも約25億円を投じた。

 秀島市長は3期12年で最も印象に残っていることに「エスプラッツに再び明かりをともしたこと」を挙げる。1期目の06年、一部を除く商業床を約8億円で取得。スーパーや子育て支援センターなどが入居、07年に再オープンした。

 「再生」の代償として市は毎年、維持管理費など1億円超を支出し続けている。「エスプラッツを繰り返さない」という考えが、街づくりの根底にある。

 市は中心市街地、中央大通りと共存共栄を図るため、人が回遊する仕掛けづくりを盛り込んだ基本計画作りを急ぐ。「県都の顔」をどう描くか。課題山積の中で正念場を迎えている。

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 任期満了に伴う佐賀市長選・市議選(8日告示、15日投開票)を前に、中心市街地活性化など市の現状と課題を追った。

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