払い落とし法で大量に付着したトビイロウンカの幼虫や卵=26日、武雄市内

トビイロウンカの被害で坪枯れが出始めた田んぼをチェックするJAの担当者=26日、武雄市内

 稲の株元に寄生して栄養分を吸い取る病害虫「トビイロウンカ」の坪枯れ被害が、佐賀県内で少しずつ出始めている。甚大な被害をもたらした2013年の経験を生かして、県は大量発生の情報を早めに発令して注意喚起し、JAなども農家に防除の徹底を呼び掛けていた。対策の効果があり、現状では4年前ほどの広がりは見られないが、「さがびより」など中晩生の品種は10月中旬の収穫期まで間があるだけに、関係者には気を抜けない日々が続く。

 今月26日、武雄市内のほ場では、少しずつこうべを垂れ始めた稲の一部が坪枯れによって黄色く変化していた。「ここ半日、1日でコロッと状況が変わってきた」。JAさがみどり地区武雄支所の山下誠営農係長は話す。

 ◆「第3世代」繁殖

 同支所では、8月中旬から農家全戸にビラを配布するなどウンカ対策の徹底を呼び掛けてきた。今月22日時点では管内の被害はゼロだったが、週明けとともに坪枯れの兆候が目立ち始めた。7月上旬に中国大陸から飛来したウンカの「第3世代幼虫」の繁殖期と重なるためで、山下さんが黒いシートを使った「払い落とし法」で調査すると、幼虫がシート全体に広がるほ場もあった。

 ウンカは、大陸に近い県西部で発生割合が高い傾向にある。嬉野市塩田町の60代男性は「早めに防除したので今のところ被害は止まっているが、近所でもひどいところが出始めている」と懸念する。「虫は移動するし、収穫まで間隔もあるので油断できない」と気を引き締める。

 ◆取り組み効果

 ウンカが大量発生した13年の県内の被害額は17億3千万円。収穫期が遅い「さがびより」を中心に影響を受けた。県やJAは薬に抵抗性を持ち始めたウンカに対して新たな薬剤を使用、地元と情報共有を密にできるよう連絡体制を見直した。

 県農業技術防除センターが今月21~25日に行った最新の調査(41カ所)では、発生株率は40・8%。12~13日の臨時調査より約10%増加した。ただ、全体の7割で現状維持か減少傾向をキープ。13年に比べ、ほ場全体にウンカが広がるケースは少ないという。センターの稲田稔病害虫防除部長は「何もしなければ被害は広がるばかり。取り組みの効果があるのは間違いない」と話す。

 センターの予想では、10月以降もウンカの発生量は平年より多い見込み。稲田部長は「面倒でも1枚1枚ほ場を確認し、必要があれば防除の体制をとって」と最後の念押しをする。

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