希望の党代表となった小池百合子東京都知事が、知事を辞職して衆院選に出馬するとの臆測が永田町や都庁内で飛び交っている。自身は「知事として党の先頭に立つ」と否定するが、民進党との合流も主導し、初の女性首相も現実味を帯びてきた。ただ、2020年東京五輪・パラリンピックの準備など課題山積の都政を、わずか就任1年で投げ出せば批判は必至だ。

 ▽待望論

 「小池さんに出てきていただき、夢と希望を語る自民党と、希望を語る希望の党、希望対決でいいじゃないですか」。衆院が解散された28日午後、自民党の小泉進次郎氏は挑発交じりに言った。「いつ出馬表明するのか。もう都議会に心はないんじゃないか」

 衆院選を「政権選択選挙」と位置づける小池氏。28日の記者会見でも「国政に戻るのではないかとテレビでにぎわっているが、都政でしっかり頑張る」と出馬説を打ち消した。それでも「候補者として前面に出てほしい」(民進中堅議員)との待望論は少なくない。

 防衛相、自民党総務会長、都知事と「女性初」を総なめにしてきた小池氏。12年、女性国会議員9人を首相候補として取り上げた本の出版記念パーティーで「国家の決断を女性が担うことが国を発展させる秘訣。一日も早く実現させたい」と語っていた。

 小池氏は衆院選後に行われる首相指名選挙について、25日のテレビ番組では「(公明党代表の)山口那津男さんがいいと思う」と語ったが、27日には「戦いが終わった後に考えたい」と一転させ、言葉を濁した。

 ▽政務優先

 25日に党結成を発表後、小池氏は知事としての公務予定を次々とキャンセル。都庁内では「衆院選に向けた政務のためだろう。いよいよ国政復帰か」とささやかれる。

 29日の女性ベンチャー成長促進事業のキックオフイベントは出席をいったんキャンセルしたが「都政軽視」との報道を気にしたのか、28日に再び出席を発表した。10月7日のイベント参加はとりやめのままで、都担当者は「知事の日程がつかなくなった」としている。

 小池氏が衆院選に立候補する場合は(1)10月5日まで開会中の都議会定例会に辞職願を出して議会の同意を得る(2)10月10日公示の衆院選に立候補を届け出て自動失職する―のいずれかとみられている。

 ▽スイッチ

 都政では、懸案だった築地市場の豊洲市場への移転問題で小池氏が6月に基本方針を示したものの、移転時期すらまだ決まらない。3年を切った20年東京五輪・パラリンピックの準備も待ったなしだ。途中で知事職を投げ出せば、これらの課題がさらに停滞するとの懸念はぬぐえない。

 ある都幹部は「勝負師として政権を取りに行く方向にスイッチが入った」と指摘し、ため息をついた。「市場問題などで方針見直しの大風呂敷を広げたのに、途中でそのまま出て行くのだろうか」

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