過去の衆院解散の主な「大義」

 安倍晋三首相は衆院解散の主な理由として、自民党内で議論されていなかった消費税収の使途変更を挙げた。唐突とも言える解散に、野党側は森友、加計学園問題への追及回避が狙いだと反発し、解散の「大義」が改めて議論を呼んでいる。歴代首相もさまざまな理由を掲げて解散した。「勝機を選び、理由は後付けが多い」(自民党ベテラン)との指摘がある。

 臨時国会冒頭解散について、安倍首相は少子高齢化による「国難」の克服を強調し、国債償還に充てる消費税収を幼児教育無償化に回すと主張した。民進党の前原誠司代表は「少子高齢化は何十年も前から分かっていた」と問題視し「森友、加計問題の追及が嫌だからだ」と非難した。

 一時急落した内閣支持率は、国会閉会中に回復傾向に転じたとはいえ、臨時国会で論戦が始まれば「問題の再燃は必至」(自民党中堅)だった。

 民進党は「離党ドミノ」が止まらず、先週までは小池百合子東京都知事の側近らによる新党の準備も進んでいるとは言えなかった。政権からは「相手の態勢が整わない今なら、逃げ切れる」(与党筋)との声も漏れた。

 最近の衆院選の大義も「党利党略」の思惑が透ける。2005年、当時の小泉純一郎首相は、持論の郵政民営化の是非を問うとして電撃的に解散した。民営化法案採決での自民党の造反者に次々と「刺客」を送り込み、単一争点の劇場型選挙で圧勝につなげた。

 安倍首相による14年衆院選は「消費税増税の延期」の是非を争点に設定。不人気政策を先送りして信を問う手法に「ずるい」と批判が出た。

 一方、政権から見て「勝機」を逃したケースもある。08年秋のリーマン・ショックへの対処などを理由に、解散を先延ばしした当時の麻生太郎首相は09年、任期満了間近に「政権政党の選択」を問う形で解散したが、大敗して下野した。選挙に有利な時期を逃し、内閣支持率低迷の中で追い込まれた格好だった。

 消費税増税を掲げた野田佳彦首相(当時)による12年衆院選も、低い内閣支持率を背景に与党の旧民主党が惨敗し、自民党に政権を明け渡した。【共同】

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