国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の開門問題で、国が開門の代替措置として示した100億円の漁業振興基金案について、関係する4県の漁業団体のうち、福岡、長崎両県は16日、受け入れる方針を固めた。

 国は11月に長崎地裁であった和解協議で基金の最終案を提出し、裁判所側が有明海沿岸の福岡、佐賀、長崎、熊本4県とそれぞれの漁業団体に対し来年1月17日の次回協議までに賛否を回答するよう求めていた。

 4団体のうち、佐賀県有明海漁協はいち早く拒否する方針を確認していたが、同様に開門を求める立場だった福岡の漁業団体が受け入れに傾いたことで、今後の対応が注目される。熊本の漁業団体も近く賛否を決めるとみられる。

 福岡有明海漁連は16日、福岡県柳川市で会合を開き、終了後に西田晴征会長は「開門調査の旗は降ろさないが、有明海再生のため、基金について一定の前向きな方向で意見集約した」と述べた。関係者によると、長崎の漁業団体も同日の会合で、受け入れの意見が大勢を占めたという。

 国側は「基金の実現には和解成立が条件」としている。漁業団体側が基金案の受け入れで一致した場合、司法を舞台に長年続いてきた開門を巡る対立が解決に向けて進み始める可能性がある。

 一方で全面解決には、開門を命じた2010年確定の福岡高裁判決を執行しない合意が不可欠で、訴訟当事者だった開門派の漁業者側弁護団の了承を得られるかが焦点となる。

 佐賀県有明海漁協の田上卓治専務理事は「以前より各県で温度差があることは感じていた。われわれは拒否する方針に変わりない。ただ、福岡が賛成に転じたことで、現場の漁業者がどう反応するのかは心配なところ」と語った。【共同】

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