戦意高揚映画「ハワイ・マレー沖海戦」を東宝が作ったのは1942(昭和17)年のこと。監督は黒澤明の師匠で、技巧派の山本嘉次郎だ◆東京の映画館での再上映を見た。ハワイ・真珠湾の米海軍基地を再現したミニチュアの精巧さに目を見張った覚えがある。戦後、GHQ(連合国軍総司令部)が特撮部分を実写と思い込み、フィルムを差し押さえたとの逸話が残るのも無理はない(『ゴジラ誕生物語』)。特撮の担当は円谷英二。この技術が「ゴジラ」に結実する◆ゴジラ第1作の公開は54年。晩年、佐賀に住んだ作家の笹沢左保さんは封切り時、東京の映画館で長蛇の列に並んだ。「キング・コングのようにコマ落としみたいなチャチな特殊撮影でもなく、2時間も待ったのだからと、ぼくと弟はゴジラを続けて2回見たのだった」と後に記している◆ゴジラが現れると観客が一斉にのけぞった、との伝説があるほど大ヒットした。シリーズ化は必然だった。その特撮の原点といえる「怪獣」の造形をテーマにした「特撮のDNA展―怪獣の匠(たくみ)」があす、佐賀県立美術館で開幕する◆ゴジラ第1作から昨年の「シン・ゴジラ」まで、実際に撮影で使われた怪獣スーツなど200点が並ぶ。童心に帰るのもよし、子どもと出かけ語り合うのもよし。思う存分、ゴジラの世界に浸れそうだ。(章)

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