多久島法子さんが父利之さんの白獅子とともに演じる「石橋」の赤獅子

「唐津は芸事への意識が高く、毎回、公演が楽しみ」と語る多久島利之さん=唐津市西城内の自宅能舞台

生徒へのレッスンの合間、「活動を通し唐津の文化が一層深くなれば」と語る多久島法子さん

 唐津生まれの祖父と父が鍛錬を積んだ唐津市西城内の自宅能舞台を会場に、能楽師多久島法子さん(36)が開く「唐KARAコンサート」が10回目を迎える。「和文化の土壌が残る唐津に日本の伝統芸能を根付かせたい」。その活動を見守ってきた父と一緒に10月8日、会場をホールに移し、親子共演の舞台に立つ。

 多久島さんは、ともに能楽の重要無形文化財総合指定保持者に認定された祖父利吉さん(1916~81年)、父利之さん(70)と同じ道に進み、東京芸術大学卒業後、公演活動の一方、「能に親しむ会」や子ども向けの能楽教室を開く。

 唐津市役所に近い閑静な住宅地にある「多久島舞台」は築65年余。利吉さんが自宅座敷を改築した。舞台は2間半(4・5メートル)四方でやや小さいが、ヒノキ張りで、玄関を横切って、橋掛かり(演者が出入りをする通路)も設けた。

 福岡市で育った多久島さんは夏休み、この祖父宅で過ごした。ただ「いとこたちは海水浴に行くのに、2歳から能を習っていた私は稽古ばかり。幼心に、恨めしく思ったこともありました」と笑う。

 最近は大人向けのレッスン会場に使用し、毎月2回通ううち、「舞台と客席が近いこの場所で、能文化を発信したい」と思うようになった。さらに「能とは縁がなかった人も来てほしい」と、二胡やシンガーソングライター、落語などとのコラボで14年3月、唐KARAコンサートを始めた。

 回を重ねるごとに固定客も増え、ふすまを取り払った最大120人の会場が埋まることも。一つの節目として、一緒に運営してきた呼子町出身の能楽師林本大さん(40)や共演した仲間と8日午後2時半から、市内の「りふれホール」で10回目のコンサートを開く。

 父利之さんとは白獅子と赤獅子が豪壮に舞う「石橋(しゃっきょう)」を演じる。15分の半能ながら体力が必要で、「父が元気なうちに」(多久島さん)、「体力づくりをしないと」(利之さん)と意気込む。

 多久島さんは「唐津は旧高取邸や埋門ノ館に能舞台があり、ご当地演目の『松浦佐用姫』もある。これほど能に親しむ環境がある地域は珍しい」と話し、利之さんは「能は世界で一番古い舞台芸術であり、国内外に知ってもらうためにも、若い世代の取り組みを応援していきたい」。親子息を合わせ、能の里づくりに情熱を傾ける。

 入場料は前売り4000円(当日4500円)。問い合わせは多久島さん、電話070(5400)8322。

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