2017年が明けた。私たちは今年、「時代の転換点」に立ち会うのだという、確信に近い予感がある。

 激動の主役は、いよいよ始動する米国のトランプ大統領だろう。これまで米国が世界に広げてきた「自由」「平等」「民主主義」などの普遍的な価値観には背を向け、自国の利益だけを最優先する「米国第一主義」を掲げている。米国にとって得か損かで、味方か敵かを色分けする、極めて単純な価値観のようだ。

 米国と同じ価値観を掲げてきたヨーロッパもまた、大きく変わろうとしている。3月までには英国が欧州連合(EU)からの離脱を正式に表明するからだ。

 EUの成り立ちにさかのぼれば、第2次世界大戦の反省へ行きつく。欧州の覇権を争ったドイツとフランスを二度と戦争へと進ませないためにどうすればいいか。その知恵からEUの前身である、資源を共同管理する欧州石炭鉄鋼共同体が生まれた。つまり、経済的な恩恵をともに分かち合うことで、不戦を実現させたわけだ。

 EUの基本条約「ローマ条約」の調印から60年の節目に当たる今年、離脱する国が初めて出ようとは、なんとも皮肉である。

 米国のトランプ現象も、英国のEU離脱も、いずれもポピュリズム(大衆迎合政治)そのものだった。格差が大きく広がり、冷静な判断よりも感情的に鬱屈を晴らそうとする。その矛先が、難民や移民、EU官僚、既存政党などへと向かった。

 今年はオランダ、フランス、ドイツで国政選挙が相次ぐ。いずれも移民排斥など過激な主張を叫ぶ政党へ支持が集まっている。

 西側諸国の足並みの乱れを横目に、ロシアや中国は覇権主義を強めている。いったい何が起こるのか。日本もまた、荒波と無縁ではいられない。

 トランプ氏は就任初日に環太平洋連携協定(TPP)からの脱退を表明するとしており、TPPを経済対策の柱と位置付けてきた安倍政権には痛手だろう。しかも、トランプ氏は2国間の経済交渉を主張しており、TPP以上の譲歩を求めてくる可能性が高い。

 安全保障にしても在日米軍の費用負担を引き上げるよう日本に求めている。大統領選では日本の「核武装容認論」まで踏み込んでおり、日本の防衛戦略が根幹から揺さぶられかねない。

 日本国内に目を向ければ、今年は天皇陛下の「生前退位」の方向性が決まり、憲法改正論議も本格化していくだろう。いずれも、この国の在り方にかかわる大切なテーマである。

 佐賀県にとっても、国策と密接な課題に方向づけがなされそうだ。フリーゲージトレイン(FGT)の開発が遅れている九州新幹線長崎ルート計画、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門調査問題、そして九州電力玄海原発の再稼働問題がヤマ場を迎える。自衛隊が導入する新型輸送機オスプレイの佐賀空港への配備問題も予断を許さない。

 不寛容な排他主義が世界にはびこる風潮は、かつて来た道を思い出させはしないか。平和国家・日本が国際社会でどのような役割を果たしていくのか。日本の信念と覚悟が試される局面がやってくるかもしれない。(古賀史生)

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