人口減少の克服や東京一極集中の是正を目指し、安倍内閣が掲げた地方創生の取り組みについて「進んでいない」「どちらかといえば進んでいない」と思う人は合わせて77%に上ることが、本社加盟の日本世論調査会が昨年12月17、18日に行った全国面接世論調査で分かった。人口減少や高齢化に直面する一方、地域活性化の実感は乏しく、政府の施策が不十分だと感じている状況がうかがえる。【共同】

 地方から人や企業が集まる東京一極集中については「是正すべきだ」「ある程度是正すべきだ」と望んでいる人が計75%に達した。理由は「企業などの地方分散により経済活性化につながる」(37%)が最多で、「地方の人口減少に歯止めがかかる」(31%)が続いた。

 有効だと思う是正策を二つまで聞いたところ、半数が「企業の本社機能などの地方移転を促す」「子育て支援などにより若い世代の移住を促進する」を挙げた。

 日本の人口減少に「大いに不安を感じる」「ある程度不安を感じる」と答えた人は計82%。理由は「年金や医療などの社会保障制度が破綻する」(55%)、「働き手が少なくなり、経済力が衰える」(31%)が上位に入った。

 政府が地方の財源確保策として創設した「ふるさと納税制度」は「評価する」「どちらかといえば評価する」が計70%を占めた。評価する理由は「返礼品の生産や開発を通じて地域が活性化する」が最多で、特産品の肉や酒などをお礼として贈ることに肯定的な意見が多かった。ただ評価しない理由は「返礼品目当てで寄付先の自治体を決めている」がトップ。返礼品に関しては、批判的な声も目立った。

 女性が生涯に生む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率(2015年は1・45)を1・8程度に引き上げる安倍内閣の目標は、82%が「実現できないと思う」と回答。出生率の向上に向けた有効策(二つまで回答)は「保育所整備などによる待機児童の解消」(42%)、「非正規社員の正社員化促進などによる収入の安定化」(34%)の順だった。

 【注】小数点1位を四捨五入した。

▼ 国の本気度疑う声も

 今回の世論調査では、安倍内閣が看板施策の一つに掲げた地方創生について、国民が厳しく評価している現状が浮かんだ。東京一極集中の是正や地域活性化は一朝一夕で解決できる問題でない。しかし地方創生の取り組みが動きだしてからの2年余りで、国の本気度を疑う声も出た。粘り強く取り組みを続けていくことが必要だ。

 目玉策の一つ、中央省庁の地方移転は「国が範を示す」はずだったが、結局移転が決まったのは文化庁だけ。これには自民党内からも「このまま終われば政府は信頼を失う」(閣僚経験者)と厳しい指摘が上がった。

 2015年の人口移動報告によると、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は転入者が転出者を上回る「転入超過」が4年連続で拡大。就職や進学時に若者が地方から流出する傾向は加速している。

 政府は、本社機能を地方に移した企業への減税制度を創設するなどして地方の雇用づくりを狙うが、目立った成果を示せていないのが現状だ。

 また15年9月に安倍晋三首相が「1億総活躍社会」との新たな看板政策を打ち出した際には、地方創生の後退を懸念する声が自治体関係者などから上がった。

 日本世論調査会が14年9月に行った調査では、地方創生の取り組みに60%の人が期待感を示していた。今回の結果は、その期待感がしぼんだことを印象付けた。

 ▽調査の方法=層化2段無作為抽出法により、1億人余の有権者の縮図となるように全国250地点から18歳以上の男女3000人を調査対象者に選び、昨年12月17、18の両日、調査員がそれぞれ直接面接して答えてもらった。転居、旅行などで会えなかった人を除き1665人から回答を得た。回収率は55.5%で、回答者の内訳は男性49.8%、女性50.2%。

 東日本大震災の被災地のうちの3県に加えて、熊本県について一部地域を調査対象から除いた。

 ▽日本世論調査会=共同通信社と、加盟社のうち38社とで構成している世論調査の全国組織。

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