友人たちとつくる未来の森

■心地よさ 未来の光景から

 長崎外海の海はどこまでも蒼(あお)く、厳しさをたたえていた。映画『沈黙』の後に原書を読み、友人たちと訪ねた遠藤周作文学館では、彼の深いまなざしが人間の哀(かな)しさを見つめていた。

 先週末はずっと山の中にいた。小さな雑木林づくりの植樹と三瀬林研でのヒノキ林の除伐枝打ち。友人の父である昭和一桁生まれの庭師が率先垂範し、それをまねながら集まってくれた皆が草をはぎ、土を掘り、苗木の向きを定める。香ばしい土の香りが流れ、木の名札の裏に植えてくれた人のサインを書き込む。寂しかった土地に苗木の立ち姿がすでにりりしい。

 そして翌日はヒノキ山に入り、草払い機での除伐。昨日植えた苗木より太い雑木を終日切り払っていく。くたくたになって帰宅する。木を植え、木を切る。不思議な気持ちだった。

 それでも湧いてくる心地よさは何だろうか。小さな雑木林もヒノキ林も立派になる頃に僕らはいない。でもきっと見えている、未来の光景が。(養鶏農家・小野寺睦)

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