高さ12㍍のクライミングウォールを登る樋口結花さん。新しい年は世代別の日本一奪還を目標に据えている=多久市の多久高

クライミングウォールの前でポーズをとる樋口結花さん=多久市の多久高

 多久高校にあるクライミングウォール。高校生と交わすあどけない笑顔は、約12メートルの高さがあるその前に立つと、瞬時に真剣な表情に変わる。じっと壁を見つめて登るコースをイメージし、パワフルかつ慎重に、時には地面と平行になる体勢を保ちながら、少しずつ頂を目指していく。

 父親の義朗さん(53)は30年以上前にクライミングを始めた佐賀県内の先駆者で、幼いときから競技が身近にあった。9歳離れた兄の純裕(まさひろ)さん(24)は昨年3月の日本選手権で優勝し、ワールドカップに参戦している実力者だ。

 「コースを自在に変え、登っていくのが面白い」。小学2年から本格的にホールド(突起物)をつかみ、心から競技を楽しむうちに自然と実力が身に付いた。小学6年で挑んだ2014年の日本ユース選手権では早くも頂点に立った。

 心に残っている大会がある。イタリアであった15年8月の世界ユース選手権。158センチ、42キロの挑戦者は、同世代とは思えないほど手足が長く、筋力もある外国人選手のすごさを目の当たりにした。結果は振るわなかったが、果敢に挑み「世界」を体感する機会になった。

 昨年10月の岩手国体は、少年女子リードで初出場ながら4位入賞。ただ、自らを「負けず嫌い」と認める15歳には悔しさも残ったようだ。「どんな思いをしても、同期や先輩がいるから頑張れる」と周囲の励ましにも感謝する。

 クライミングは2020年の東京五輪から正式種目となる。「今の自分にはまだ遠く夢の存在」と冷静に分析し、「まずはJOCジュニアオリンピック大会で優勝」と15年以降遠ざかっている世代別の日本一奪還を目標に据える。今の自分を少しずつ超えていった先に、大舞台が待っていると信じている。

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