「team.遊悠融」代表 馬場佐希子

■社会化されていない声を 考える機会提供に役割

 「個人的なことは社会的なこと」。一人の困りと向き合うことや一人を救う経験が、社会の仕組みになることでたくさんの人の生きやすさや安心な地域づくりにつながっています。

 「往復書簡~やさしさ漂流」は、「貧困者」と「普通の人」の福祉のねじれがテーマでした。日本の福祉の考え方にグラデーション(段階的変化)の概念がないことが生じさせている感情を取り上げた内容でした。制度に入らない「普通の人」は多様ですが、一括(くく)りにされてしまいます。しかし、個人の困りは、たくさんの人も同じように抱えている困りかもしれません。

 公共交通機関の記事に、「内閣府の世論調査」と「高齢者運転免許返納」がありました。前者は鉄道やバスを利用しやすければ外出回数が増えるなど、ある程度公共交通機関が整っている人の記事。後者は免許がなければ生活できないと困っている人の記事。佐賀県は公共交通機関が生活の中にあるとは感じにくく、車がなければ生活に困る人は多いのではないでしょうか。公共交通機関の整備状況は、高齢者だけではなく、免許を持たない人、子どもたちにも日々の生活や活動範囲に影響を与えています。車がないとどんな困りが生じて、生活がどのように違うのか。考えていくために新聞ができることがあると思います。

 今年も、保育園に入所するための困りなど当事者の声が、インターネットではたくさん発信されています。子どもを産むことで発生するさまざまな困惑を個人ではなく、社会が受け止めていくことはできないのかと思います。

 子育ての状況は、三世代が近くに生活する人と、自分の育ったまちから離れての子育てする人とでは状況が大きく違います。困りが見えていなかったり、困りが似たように見えて違う捉え方をしてしまったりすることもあります。

 子どもの中には不登校、発達障害、貧困などの括りに入らない「普通の子」でも困りを抱えているかもしれません。同じように見てしまい、気づかなかったりします。新聞には社会化されていない声を伝え、考える機会の提供をと思います。「どのような困りを抱え、何を必要としているのか」。社会全体で知って、考えるための情報を伝える役割がマスメディアにはあると思います。

 紙面で、子育ての姿を感じることが身近な大人や地域ができることを考えるきっかけになるかもしれません。

 人口比で読者を考えると、年齢が高い世代が多いことになります。子ども、子育て家庭への情報を求めていない現状はあるかもしれません。ですが、子どもたちが健やかに育つことや、社会の安心と未来のために、一緒に考えることは大人の役割です。

 世代を超えて理解が広がる紙面をこれからもお願いしたいと思います。

=2月分=(ばば・さきこ、鳥栖市)

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