■政府が注意喚起、製品改良へ検討

 政府は、子どもや高齢者らが死亡したりけがをしたりした消費者事故の情報を、人工知能(AI)を使って分析する手法の導入に向けた検討に入った。消費者庁などに寄せられた膨大な量の事故情報を「ビッグデータ」として活用し、有効な再発防止策や注意喚起、製品改良などにつなげたい考えだ。【共同】

 政府が事故情報の分析にAIを取り入れる試みは初めて。内閣府消費者委員会が専門家らを交えて議論をスタートさせた。年明けから関係機関のヒアリングを進め、2017年夏ごろをめどに新たな分析手法の方向性を取りまとめて、消費者庁などに導入検討を提言する。

 消費者庁は、暮らしの中で起きる転倒や転落、誤嚥(ごえん)といった事故情報を、消費生活センターや自治体、国の行政機関、事業者、独立行政法人、医療機関などから一元的に集約。同庁などが運営する「事故情報データバンクシステム」には計約18万8千件が登録されている。

 その発生時間や場所、季節、曜日、天候、気温、被害者の性別や国籍、製品の状態などを幅広くAIに分析させる。職員や相談員らが入力した「自由記述」の情報について特定の単語や記述から頻度や傾向などを探る「テキストマイニング」の手法も採用。会員制交流サイト(SNS)やウェブサイトの情報も分析対象とする。

 子どもは危険を察知する能力が乏しいのに好奇心は強く、予測できない行動を取る特性がある。そうした特性から、どのような状況で事故が起こりやすいかも分析。高齢者についても判断力の程度など特性を探る。東京五輪・パラリンピックを控え、外国人の事故情報も同様に分析する。

 人による分析をしている現状では、事故があった製品名や企業名の入力がばらばらだったり、入力内容が不十分だったりして、分析に支障をきたすこともあった。AIによる分析導入に向け、入力項目や内容の見直しや統一化も検討する。

■不慮の事故死、後絶たず 5年間2030人

 就寝中の窒息、浴槽での溺死、ベランダからの転落…。子どもの不慮の事故死は後を絶たない。政府は昨年6月、各省庁や警察、消防がばらばらに収集してきた子どもの事故情報を共有する「連絡会議」を設立し、有効な再発防止策につなげるための分析作業を進めている。まだ道半ばだが、こうした情報に人工知能(AI)を活用することも期待される。

 連絡会議の事務局を担う消費者庁は厚生労働省の人口動態統計の死亡調査票を集めて分析。2014年までの約5年間に、交通事故を含む不慮の事故で死亡した14歳以下の子どもは2030人に上った。

 年齢別では、1歳未満は窒息死が圧倒的に多く、ベッドや布団などで顔が埋もれたケースが目立っている。一方、マンションなど建物からの転落は歩き回るようになる3、4歳に多い。

 低年齢ほど家庭内の事故が多く、例えば溺死は0~1歳は浴槽内、活動的になる5歳以上で海や川といった屋外が増えてくる。こうした年齢による傾向や発生状況を詳細に分析し、防止に生かすことが重要だ。

 連絡会議では消防や警察が把握する自宅での事故、文部科学省や厚生労働省に報告される幼稚園・保育所での事故、国土交通省が持つ公園での事故などの情報も共有し再発防止策を探っている。

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