「Untitled」(2014年、紙にペン、インク、46×61㌢、作家蔵(C)IKEDA Manabu

■原発稼働への警告?

 大樹を描いた作品を「存在」と名付けるなど印象的なタイトルを付ける池田学さんだが、この作品は無題(「Untitled」)。プリンのような形をした山に木々や植物が苔(こけ)むしたように生い茂る光景を描いている。

 池田さんに尋ねてみると、「鉛筆画など習作や下絵みたいな作品にはタイトルをつけない」と答えた。鉛筆画は、絵の構想が浮かんだときにさっと小品に描くことが多いという。

 絵を見ると、1979年に米東部のペンシルバニア州にあるスリーマイル島で起きた原発事故が思い浮かぶ。山のようなものは、原発施設のプラントにも見える。人も住まなくなった島で人工物が植物に飲み込まれながら朽ち果てていく光景にも見える。

 メルトダウン(炉心溶解)が起きた大事故が忘れ去られたかのように、今でも世界中で原発が稼働している。ペン画として細部まで描いているのに、この絵をあえて無題と名付けたのも、人間社会に対する静かな警告の表れなのかもしれない。

 池田学展は県立美術館で20日まで(13日は休館)。一般1200円、高校生以下は無料。

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