四つ手網でシロウオを捕獲する関係者=伊万里市山代町の楠久川

シロウオ尽くしのフルコースをつくる関係者=伊万里市山代町の楠久津公民館

網に掛かったシロウオの群れ

■躍り食いや天ぷら 旬の味楽しむ

 江戸時代に鍋島本藩と小城藩の海事拠点だった伊万里市山代町の楠久、楠久津地区で、歴史と文化、自然を生かしたまちづくりが新たな展開を見せている。両地区の住民らでつくる「楠久・津まちづくり実行委員会」(樋口国昭実行委員長)は4日、楠久川の春の風物詩のシロウオ漁を実演し、市の関係者らにシロウオの躍り食いなどの料理を振る舞った。

 楠久川下流の汽水域には、春の産卵期になるとシロウオが遡上する。地元では昔から四つ手網による漁が盛んだが、地区外にはあまり知られていない。

 2年前に活動を開始した実行委は、住民参加のワークショップを開いて地域を見つめ直した。その中でシロウオも地域資源の一つとして着目。本年度の「さが未来スイッチ交付金事業」の助成を受け、四つ手網を5セットそろえたほか、活動に使う法被やのぼり旗も作った。

 4日は塚部芳和市長や地元の市議らを招き、まず楠久津公民館近くでシロウオ漁を実演。群れが網の上を通過するタイミングを見計らって引き揚げると、体長約5センチの透明なシロウオが網の上で元気に跳ねた。大量に捕獲したシロウオはポン酢で泳がせながらの躍り食いで旬の味を楽しんだほか、釜ゆでや天ぷら、吸い物など、シロウオ尽くしのフルコースを味わった。吉崎弘副実行委員長(72)は「今後もシロウオを地域の宝として大事にしていきたい。まずは川の環境を守らなければ」と話していた。

 本光寺前住職の小島宗光さんの研究によると、江戸時代に御船方(海事を扱う役所)が置かれた楠久津では、住民も一体となって交易に励み、それが藩の財政再建と、近代日本を開く原動力になったという。実行委は楠久津を「三重津海軍所(佐賀市)のルーツ」と位置づけ、史跡の整備や自然環境の保全、観光などと絡めたまちづくりを進めている。

 大正期に建てられた旧佐賀銀行楠久支店を地区で取得後、新しいまちづくりの拠点として改修しており、早ければ本年度中にも工事が完了。歴史資料などの展示スペースなどにも利用する。地区の歴史遺産を紹介するガイドブック(200部)も間もなく完成する。今後は明治維新150年を見据えた活動も模索していく。

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