8月の佐賀県内経済は、夏物家電など一部で猛暑による需要の押し上げ効果がみられた。ただ、全体的に個人消費は力強さを欠き、景気回復の足取りの重さが感じられる結果となった。

 野菜価格が値上がりしていた前年の反動に加え、婦人服のバーゲンも振るわず、大型店の売り上げは伸び悩んだ。貸し切りバスは訪日外国人の団体ツアーの利用が減り、前年比20%の大幅減。猛暑の影響で生産性が下がり、機械・電機の工場稼働率は4-6月より1割低下した。

 厳しい中で、水出し煎茶のティーパック、飲料、冷蔵庫など白物家電の販売が伸び、旅館や不動産も堅調に推移した。大手電力会社がオール電化の営業を強化している影響からか、ヒートポンプ式給湯器の販売も2桁増になった。

 公共工事は、九州新幹線長崎ルート関連工事の発注が一巡したことなどから前年比2割の減。住宅着工(7月)も2割減だった。

◇…大 型 店…◇

 来店客数は前年並み。婦人雑貨や紳士、子供衣料の売り上げは伸び、物産展も良かったが、婦人衣料の苦戦が続いており、全体の売上高は微減だった。夏休みで室内遊園地は1日平均150人が訪れ、レストラン街にも客が流れたほか、総菜も売れた。

 (小笠原浩幸・佐賀玉屋営業企画部長)

 初旬は伸び悩んだが、お盆の帰省客需要が全体を引っ張った。「山の日」(11日)が盆休みと重なって帰省ラッシュが前倒しになったため、オードブルなどの食品が足りなくなる日もあった。育児用品は2桁の伸び。婦人衣料は芳しくなかった。

 (金丸秀昭・イオン佐賀大和店店長)

 前年同月の野菜価格高騰の反動もあり、グループ全体の売上高は実績に届かなかった。気温の高い日が続いたため飲料はよく動いたが、鹿島市の自社店舗近くに競合店ができるなど顧客の獲得競争も激化し、数字を押し上げることができなかった。

 (村山登志之・スーパーモリナガ専務)

 ◇…電 化 製 品…◇

 来店客数は前年同月をわずかに下回ったが、大型冷蔵庫や洗濯乾燥機など白物家電の高単価品が売れ、全体の売上高はプラスを確保できた。人気の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」、ヒートポンプ式給湯器も好調で、いずれも2桁増だった。

 (池上英治・エディオン佐賀本店店長)

 ◇…  茶  …◇

 盆やお中元に伴う需要は一段落。産地間取引や見本市もなく、1年で最も荷動きが少ない時季だが、水出し煎茶のティーバッグは需要が高まっているようで、夏場の商品として定着してきている。佐賀市の大型商業施設で実施した組合の冷茶試飲会でも好評だった。

 (橋爪英彦・県茶商工業協同組合理事長)

 ◇…製   麺…◇

 真夏日となる日が多く、そうめんや冷やし中華、そばなどがよく動いたが、全体の売り上げは中元品を含め前年並みにとどまった。冷凍や調理麺など簡便で本格的な商品が増えている。ニーズの変化を捉えた商品展開が必要だ。

 (古賀義治・県製粉製麺事業協同組合理事長)

 ◇…機械・電機…◇

 猛暑の影響で製造現場の作業効率が落ち、全体の生産量は4~6月に比べて1割程度低下したようだ。自動車や食品、半導体関連は好調で、観光庁からの受注も増加傾向が続いている。

 (中村敏郎・県工業連合会会長)

 ◇…印   刷…◇

 全体の売り上げは前年にわずかに届かなかった。個人消費の伸び悩み、小規模小売店の減少などでチラシの利益率が低下していることが背景にある。10月には長崎県の組合との交流会を初めて開く。これからのビジネスの在り方、資材値上げ対策など生き残る知恵を探りたい。衆議院解散に伴い、印刷物の発注が出るのはありがたい。

 (平川直樹・県印刷工業組合理事長)

 ◇…I C T …◇

 組合員全体の売上高は前年並み。マイナンバー導入に伴うセキュリティー対策関連の仕事も落ち着いてきた。「働き方改革」が叫ばれる中、情報通信技術を取り入れて作業効率アップを図る企業のニーズにどう対応していくか。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の普及も見据え、新たな需要を掘り起こしていくことが必要だ。

 (伊東正孝・県ソフトウェア協同組合理事)

 ◇…旅   館…◇

 宿泊者数は前月比、前年同月比ともに微増。依然として唐津を舞台にしたアニメの集客効果が数字を押し上げている。外国人客数は前年と大きく変わらないが、個人客の割合が増えている。インターネット予約が好調なので、さらに活用してPRしていきたい。

 (松下隆義・唐津市旅館協同組合理事長)

 全体の売り上げは前年並み。昨年は熊本地震からの観光振興を図る「九州ふっこう割」が販売されていたため、悪くない数字だ。特に上旬から盆明けまでの客室稼働率は平均で85%程度と高く、家族連れなどでどこも忙しかったようだ。外国人客も多く、温泉目当てに連泊する客も増えている。

 (池田榮一・嬉野温泉旅館組合理事長)

 ◇…ゴ ル フ…◇

 県内施設の来場者数は全体で前年同月比2・1%の増。県アマチュア選手権の効果もあって数字は伸びたものの、猛暑で集客に苦労するところが多かった。9月に入り過ごしやすい気候が続いている。さらに需要を掘り起こしていきたい。

 (毛利雄治・九州ゴルフ連盟支配人部会県代表幹事)

 ◇…バス・タクシー…◇ 乗り合いバスの運送収入は前年同月比0・7%の増。高速バスは天神線が前年同月を下回ったが、空港線は夏休みの旅行需要が伸びて4・2%増だった。貸し切りバスは、運送収入が20・0%減、輸送人員も15・0%減と大幅なマイナス。訪日外国人客の団体ツアー利用が減ったことなどが影響したとみられる。タクシーは運送収入、輸送人員ともに前年並みで推移した。

 (江上康男・県バス・タクシー協会専務理事)

 ◇…石   油…◇

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は133円80銭。前月から80銭安で横ばいだった。販売量(7月)は、ガソリンが前年同月比3・5%、軽油が同1・5%それぞれ増加した。目立った需要増の要因はなく、猛暑でエアコンの稼働が増え、燃費が悪くなったことが影響したとみられる。

 (光武繁・県石油商業組合専務理事)

 ◇…建   設…◇

 県内の公共工事の請負金額は前年同月比19・3%減の71億500万円、件数は18・6%減の215件だった。請負金額を発注者別にみると、国、県、市町、独立行政法人のいずれも前年実績を下回った。九州新幹線長崎ルート関連の工事が一巡したようで、独立行政法人の発注工事が件数、請負額ともに少なかった。

 7月の住宅着工は17・1%減の544戸だった。

 (中島博文・県建設業協会専務理事)

 ◇…不 動 産…◇

 猛暑で前半は動きが鈍かったが、後半になって取引が活発化した。佐賀地区は立地条件が良い鍋島、兵庫地区の分譲地が安定的に動いた。鳥栖・三神地区は新築住宅や中古マンションが好調で、杵藤地区は前月に比べると取引が一段落した感がある。伊万里地区は分譲地の供給が追いつかないほどの需要があり、唐津地区も全体的によく動いた。

 賃貸は需要が増え、空きが少なくなっているが、水回りが古い物件は敬遠されがちだ。

 (山口英則・県宅地建物取引業協会地域振興委員長)

 ◇…陶 磁 器…◇

 前年比17・46%減。年明け以降、厳しい状況が続く。まとまった注文を受けた会社もあるが、国内市場の伸び悩みで業務用の動きが鈍いのは確かだ。組合が持つ有田焼の商標を使った中国での市場拡大の取り組みなど、海外を視野に入れた動きに注目したい。ただ、9月は好調に推移しており、今後に期待する。

 (百武龍太郎・県陶磁器工業協同組合専務理事)

 市場環境の厳しさを反映し、前年比9・46%減。各社によって注文状況の波があり、毎月コンスタントに売り上げを伸ばすのは難しい状況にある。厳しい中にも業務用のオープン物件や新しい記念品の注文をまとめた社があることは心強い。これから冬に向け、需要が高まる時期。今後の伸びを期待している。

 (藤雅友・肥前陶磁器商工協同組合専務理事)

 前年比3・03%増と数字を伸ばすことができた。盆時期に開催したフェアが前年比2桁増と売り上げをけん引した。昨年の有田焼創業400年で、全国各地へのPRが実を結んだようだ。夏場は例年、動きが鈍いが、7、8月と連続して前年をクリアしている。この調子で秋冬商戦の売り込みに力を入れたい。

 (原口秀夫・有田焼卸団地協同組合専務理事)

 ◇…陶   土…◇

 前年比6・8%減。ここ数カ月、動きの鈍さが続き、出口が見えない状況になっている。8月は動きが鈍いとされるが、例年に増して厳しい状況だった。ただ、夏の間の営業努力が実を結び、秋にかけての注文もあったと聞く。400年事業の成果とともに、動きを注視したい。前月比は0・1%増だった。

 (一ノ瀬秀治・肥前陶土協同組合主事)

 ◇…家   具…◇

 全体の売上高は前年同月と変わらないとする組合員が多かったが、盆の帰省需要が下支えしたのか、座卓の売れ行きは良かった。景況感は厳しさを増しており、住宅メーカーとの連携も模索しながらより良い住環境づくりを提案し、買い換え需要を喚起したい。

 (樺島雄大・諸富家具振興協同組合理事長)

 ◇…建   具…◇

 組合の資材共同購入額は前年同月比32・1%の大幅増。昨年がマイナスだったこともあり、振れ幅が大きくなった。前月比も4・7%増と上向いた。4月から増減を繰り返し、一進一退の状況が続いている。北米産の木材価格の上昇と品質の低下が気がかりだ。

 (石井敏明・県木工業協同組合理事長)

【写真】猛暑が続く中、乗客に涼を感じてもらおうと設置された氷柱=佐賀市のJR佐賀駅構内

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