千代雀の大正蔵の壁面の崩落を防ごうと足場を組み応急措置に取り組むNPOのメンバー=小城市三日月町

 建築士や設計士らが地域の歴史的建造物保護に取り組むNPO法人「まちのつぎて」(江島文代表)は、嘉瀬川と国道34号が交差する場所にある旧酒造会社の酒蔵に足場を組み、崩れかかった壁面の応急措置に乗り出した。NPOの会員らは、関係先を回って寄付金を募り、補修に必要な建材を買い込む予定。江島代表は「壁面の劣化を遅らせ、将来的に自治体などの支援を受けることで、昔ながらの建物の姿を取り戻したい」と意気込む。

 旧酒造会社は、小城市三日月町の2002年に休業した「千代雀(すずめ)」。明治時代に建てられた酒蔵やれんが積みの煙突は近くを通る国道沿いから、佐賀と小城の境となる目印としてなじみが深い。創業者は“書聖”と称された書家・中林梧竹を経済的に支援したり、歴史を感じさせる建物群は映画のロケにも使われた。

 今回、緊急補修をするのは「大正蔵」と呼ばれる酒蔵南壁面。壁の漆喰(しっくい)の傷みが激しく、地元の建設会社「中島工務店」から無償で足場を借り受け、NPO法人の会員らが高さ4、5メートルまで組み立てた。雨風から壁を守るためブルーシートで覆い、漆喰や角材など寄付金で購入した資材で、専門分野の職人に補修を依頼するという。

 「まちのつぎて」は2年前に大幅に組織改編。文化価値の高い建造物の保存や活用方法を推進する「ヘリテージマネジャー」の資格を持つ約10人が集い、古民家や時代考証が必要な建物などでワークショップを中心に、活動を展開してきた。

 保存を目的としたNPOによる補修活動は県内では千代雀が初めてのケース。江島代表は「佐賀は戦災が少なく、まちなかでも目を見張る建物が数多い」といい、「いずれも個人所有者の理解が得られないと補修は困難を伴う。息の長い活動により、地域に活動の理解と協力を得たい」と話す。

 同団体は、保存活動にかかる寄付金と補修に必要な資材の提供を受け付けている。問い合わせはNPO法人「まちのつぎて」、電話0952(26)9404、メールアドレスmachinotsugite@gmail.com

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