どきりとした。「あんたねっ、あたしはすぐに使いたいのっ」と中年女性の怒鳴り声。連休中に立ち寄った東京・銀座の携帯電話ショップで、若い店員が頭を下げていた。スマホの修理で訪れた女性が待ち時間に耐えかねたのか、説明を遮って「待ち時間に充電できたでしょっ」と収まらない◆いわゆる「キレる」中高年が社会問題化しつつあるようだ。電車の遅れなどをきっかけにした、乗客による駅員や乗務員への暴力も深刻で、日本民営鉄道協会がまとめたデータによると、加害者は「60代以上」が最も多い。「50代」と合わせると4割を超える◆怒りの原因は待ち時間だけではないだろうが、「現代人は、『ただ待つこと』が本当に苦手になっています」と、月読寺(鎌倉市)の住職小池龍之介さん。著書『考えない練習』(小学館文庫)で指摘している。待ち時間をどう過ごすか。小池さんは「時間を無駄にしない練習」として「瞑想(めいそう)」の効用を説いている◆「目をつぶって自分の呼吸に集中してみることで、心を穏やかに、リフレッシュさせることができます」「苛立(いらだ)たずに、待つ時間をきちんと味わえると、無駄な時間が一切なくなりますので、いつも充実していることが叶(かな)うのです」◆怒りに任せて「キレる」仲間入りは遠慮したい。待ち時間を味わう、そう頭を切り替えよう。(史)

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