■話すことが苦手だった私

 朝倉市にある原鶴温泉の町に私は生まれ育った。久しぶりに山の上の温泉の露天風呂に入った。天気もよく、山の上から見る筑後川の眺めは最高に美しかった。温(ぬる)めのお湯につかりながら、フッと幼い頃からの自分を振り返った。

 私は小さい頃は赤面症で、人前で話をするのがとても苦手な子どもだった。小学4年の頃に作文で県から賞をもらった。その作文を全校生徒の前で読まなければならなくなった。真っ赤な顔を原稿用紙で隠しながら読んだ。読み終わった時に感じた満足感。全校生徒からの拍手に感動のスイッチが入ってしまった。思えばあれから私は変わった。いろいろなことに積極的になった。

 それからの私。もし私が保育の仕事をしなければ…。今の夫と出会わなければ…。双子を授かり、双子の子育てで苦しまなければ…。私を励ましてくれた双子の先輩ママに会わなければ…。

 私は今、双子・三つ子サークルの代表をしたり、学生に話をしたり、講演や講座で話をしたりしている。赤面症で話すのが苦手だったのに、本当におかしなものだ。いろいろな偶然が重なって今の私がいる。

 以前、「偶然は必然で起きている」と聞いたとき、私はとても納得した。何が起きるかわからない偶然だが、必要だから起きる偶然だと前向きに生きたいと思う。(中村由美子・佐賀女子短大非常勤講師)

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