企業負担の掛け金を運用し従業員の年金に充てる「企業型確定拠出年金」で、運用せずに放置されている資産が、2016年3月末時点で約33万人分の1428億円に上っている。転職や退職で加入資格を失った人が、運用継続に必要な手続きを取っていないためだ。資産を管理する国民年金基金連合会は、転職経験のある人らに年金関連の手続きを忘れないよう注意喚起している。

 確定拠出年金は企業型と加入者自身の責任で運用する個人型の2種類があり、10年以上加入すると60歳から受給できる。企業型を利用している人が退職すると加入資格がなくなるため、個人型や転職先の新たな企業型に加入し直す必要がある。運用資産を一時金として受け取れる場合もあるが、別の手続きが必要だ。

 資格喪失後6カ月以内にいずれの手続きも取らなかった場合、資産は自動的に売却、現金化されて約4千円の手数料が差し引かれた上で連合会に移される。以降も毎年約600円の管理手数料がかかる。このままでは年金として受給できず、受け取るためには申請が必要だ。

 連合会によると、16年3月末時点で管理している資産は前年に比べ207億円増加。企業型の普及に伴い、放置される金額が年々増えている。

 制度を所管する厚生労働省は企業型を運営する事業主に対し、従業員の退職時には必要な手続きについて説明するよう指導しているが、情報提供は徹底されていない。

 確定拠出年金 決まった額の掛け金を株式や債券、保険商品などに投資し、運用結果に応じた年金を受け取る制度。公的年金の上乗せ部分に当たる。企業が実施する企業型と加入者自身の責任で運用する個人型がある。年金として受け取れるのは60歳から。原則として途中で取り崩すことはできず、加入期間が10年未満の人は受給開始が61~65歳と遅くなる。個人型はこれまで自営業や一部の会社員に限られていたが、今年から20歳以上60歳未満の人なら誰でも利用できるようになった。【共同】

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