仮設住宅の集会所に開いたカフェで住民にケーキを提供する佐賀農業高食品科学科2年の生徒ら(写真奥)=熊本県菊池郡大津町室地区

ジャガイモの種芋の植え付け作業に当たる佐賀農業高食品科学科2年生ら。すぐそばには地震で数十㍍にわたり崩落したのり面が残っていた=熊本県菊池郡大津町

現在も屋根をビニールシートで覆った家や折れ曲がった電柱、崩れたのり面など地震の爪痕が生々しく残る被災地=熊本県阿蘇郡南阿蘇村立野地区

■熊本地震の爪痕、胸刻み

 白石町の佐賀農業高食品科学科の2年生28人が4日、熊本地震被災地の南阿蘇村や大津町で、復興支援ボランティアに当たった。同校が江北町で開いてきたケーキカフェを出張オープンさせ、農作業に汗を流した。地震発生から1年を迎えようとしているが、この一帯は「片付けが始まった段階」といい、生徒たちは復興の現状を目の当たりにした。

 南阿蘇村の農業法人「木之内農園」が、隣町の大津町内で栽培するジャガイモの植え付け作業と、約80世帯が暮らす大津町室(むろ)地区の仮設住宅でのカフェ出店に取り組んだ。

 農作業は約5時間かけて85アールに種芋を植え付け、集会所のカフェでは3種類のタルトやキッシュ、飲み物を提供し、約40人が利用した。

 南阿蘇村立野(たての)地区では地震で水利施設が損壊。同法人は米に代わり、水利が不要なジャガイモの種芋生産を拡大している。地区内には現在もビニールシートが屋根を覆う家や屋根ごと押しつぶされたままの家が数多くあり、住民は村外の仮設住宅などで暮らす。

 いずれのボランティアも、同村で農業分野の復興を目指すNPO「南阿蘇ふるさと復興ネットワーク」が仲介した。同NPOの吉村孫徳(まごのり)事務局長は、発災当初の混乱ぶりや地震後の大雨も含めた被害についても説明し、「立野地区は被害が大きく、災害ボランティアもなかなか入れなかった。復興というより、ようやく片付けが始まった段階。まだまだ多くの力が必要」と生徒たちに訴えた。

 カフェ店長の高祖太一さん(17)は「仮設住宅の方は想像よりも明るかった。笑顔になってもらえて、少しは力になれたと思う。今度は農園の復旧などを手伝えたら」。農作業に当たった梶原光さん(17)は「正直、復興に向けて直接関われたという感覚はない。でも、来て現地の状況が知れて良かった。今後も間接的にでもできる支援をしていきたい」と話した。

 吉村事務局長は「被災地では生業を建て直す見通しが立たず、地域から人が出て行っている。ボランティアも発災直後に比べ大きく減った。受け入れ側も、人員の技能や人数に応じて派遣先を采配できる体制ができていない」と、踏み出したばかりの復興の道のりの長さと険しさを語る。

 生徒たちのボランティアについては「大いに力になってもらったが、現状を見てもらうことが最大の目的。知ってもらうことで(復興への)一体感が出て、我々も元気になれる。一番しんどいのは忘れられることだから」と語った。(志垣直哉)

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