臨床心理士の西村麻希さん

■悩み多様化、手探りで支援

 東日本大震災で被災した人が避難先の佐賀県で定期的に集う場所がある。西九州大学が佐賀市の佐賀キャンパスで開く「ほっとひろば」。運営スタッフとして心のケアに当たっている。

 「ふるさとを懐かしんだり、先が見えない不安を漏らしたり。日ごろ胸にしまっている思いを語り合い、張り詰めた心をほぐしてもらう。鳥が羽を休める止まり木のように、ここに来たら『また頑張ろう』ってなれるよう心掛けています」

 集いは震災3カ月後から計156回開かれ、延べ1560人が参加。身を寄せた人たちの心模様は歳月とともに移り変わった。

 「半数は、佐賀と縁もゆかりもなかった家族。初めは心細さを訴える声をよく聞いた。仕事とか友人とか、新しい生活の基盤ができてくると、今度は『このまま帰れないのだろうか』という不安にさいなまれる。誰もが『これでいいのか』と自問しながら一歩、また一歩と進んでいる」

 避難者が何を求めているのか、支援する側も手探りを続けた6年だった。

 「避難先での暮らしに慣れようと必死だった家族は、日々の出来事を重ねるうちに、悩みも多様化した。参加者の顔ぶれは同じではなく、このひろばの存在をずっと知っていながら半年前に初めて訪れた人もいる。心の支えはまだまだ必要だと思う」

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 東日本大震災の発生から11日で6年、4月には熊本地震から1年を迎える。さまざまに向き合ってきた人たちの歩みや思いを佐賀からつづる。

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