安倍晋三首相は5日、テロ対策強化に向けて「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を、今月20日召集の通常国会に提出する方針を固めた。2020年の東京五輪・パラリンピックを見据え、国際的なテロに備えるためにも法整備が必要だと判断した。官邸は自民党幹部に提出方針を伝達。共謀罪を巡っては、捜査機関の職権乱用による人権侵害を不安視する声があり、日弁連などが反対している。

 共謀罪は国会で過去に3度、廃案になった経緯がある。当初は重大犯罪の謀議に加わると罪に問われる内容だった。政府は昨年秋の臨時国会提出を見送り、罪の名称や構成要件の見直しを進めていた。罪名は「テロ等組織犯罪準備罪」に変更した上で、対象を「組織的犯罪集団」に限定し、単なる共謀だけでなく「準備行為」も要件に加える案で調整している。

 菅義偉官房長官は5日の記者会見で、東京五輪が3年後となることに触れ、国際組織犯罪防止条約に基づいて各国と連携するため、法整備が不可欠と訴えた。「テロを含む組織犯罪を未然に防ぐため、万全の体制を整えることが必要だ」と述べた。

 民進党や共産党は反対するとみられ、国会審議で議論となりそうだ。

 首相は政府与党連絡会議で、通常国会での重要法案成立に向けて万全を期すよう与党側に要請した。自民党の二階俊博幹事長は会見で改正案について「政府は名称も変更し、極端な誤解を生まないよう配慮している」と指摘し、成立へ努力する考えを示した。【共同】

=ズーム 国際組織犯罪防止条約=

 国際組織犯罪防止条約 複数の国にまたがる組織犯罪を防ぐため、各国が協調して法の網を国際的に広げるための条約。重大犯罪の共謀や、犯罪で得た資金の洗浄(マネーロンダリング)の取り締まりを義務付けている。国連総会で2000年11月に採択。12月にイタリア・パレルモで条約署名会議が開かれ、日本も署名した。政府は「共謀罪」の法整備が条約締結の要件だとして組織犯罪処罰法改正を目指すが、成立に至っていない。世界180以上の締結国全てが法整備したわけではないとの指摘もある。

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