佐賀大工学系研究科教授 米山博志氏

■原発連載で課題浮き彫り 多角的に「監視」続けて

 4月は佐賀県にとって大きな出来事が続いた。4月17日に開門差し止め命令の判決が出た諫早湾閉め切りについて、「国策と地方」(8日)では、構想から65年になる諫早湾干拓事業の歴史がつづられ、「国策と地方」(11日)では法廷闘争の経過に焦点が当てられていた。事業費の変遷、裁判の流れ、対立の構図などが図式化され、わかりやすい記事になっていた。

 一方、7回にわたって連載された「分断の海」(9-16日)では、漁業者、営農者の状況、国の主張などが、海の変化や人の生活に視点を置いて記述されており、これらの2種類の記事を合わせることによって、複雑な構図を持つこの問題に対して、整理された見方が提供されていたと思う。

 同様の連載が、長崎県で発行されている長崎新聞にもあった。「鎮まぬ海」と題して5回にわたり、この問題を取り上げていた。「分断の海」にはない記載として、事業の当初の目的であった治水の歴史とそれに苦しんだ市民に関する記述があり、この視点は問題を理解する上では欠かせないと感じた。逆に、「分断の海」には有明海の異変を検証する研究に関する記事があり、二つの連載にはそれぞれの県の特徴が表れている印象を持った。控訴をしないという国の方針を受けて新たな状況を迎えることになるが、解決への困難な道を探るためにも丁寧で正確な報道の役割は大きいと思う。

 玄海原発3、4号機再稼働に関する4月の報道の量の多さは、日頃、目を通している全国紙の扱いに比べて圧倒的であった。再稼働を巡って連日、県知事、自治体、市民団体などの動きが報道された。これに加え、「考 再稼働」(3日)では、佐賀県内全自治体と半径30キロ圏内の首長アンケートの結果として、使用済み核燃料の処理の懸念が挙げられた。さらに再稼働容認前の連載「考 再稼働」(5-12日)の中で、再稼働の理由、「地元同意」、避難計画などの解説に加え、それぞれの問題点が指摘され、多くの重要な課題がそのままに再稼働へ向かっている状況が浮き彫りにされた。そして、容認表明後にはもう一つの連載「玄海原発 再稼働へ」(25-30日)で、容認に至った過程に深く関わるそれぞれの立場の状況に焦点が当てられていた。「福島の事故を経ても、周辺の民意は置き去りにされたまま、再稼働の準備は進んでいく」という重い結果を受けて、地方のみならず、国の、そして人類の将来に関わるこの課題について引き続き、さまざまな角度から取材し、「監視」を続けていただきたい。

 最後に、「桜めぐり」(4-21日)は大いに目を楽しませてくれたが、特に、11日の馬場の山桜、川内ジラカンス桜、MR浦ノ崎駅の桜と、一挙に3枚の写真は鮮やかでした。=4月分=(よねやま・ひろし、佐賀市)

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