何を深く反省するのだろう。安倍晋三首相が、自民党が歴史的惨敗を喫した東京都議選を受けて記者団に「自民党に対する厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」と述べた。しかし、どう反省し、党と政権の立て直しのために何をするのか、具体策は何も語らなかった。

 政権の誤り、過ちを自ら厳しく総括することこそが必要だろう。その姿勢に欠けていると言わざるを得ない。

 「政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったと思う」とも記者団に語っている。しかし、敗因は「緩み」だろうか。それは「安倍1強」による「おごり」そのものが招いたのではないか。

 都議選は地方選ではあるが、首都の選挙であり、過去、選挙結果がさまざまに国政に影響を与えた。それだけに自民党は党を挙げて力を入れてきた。今回、首相はほとんど応援演説に姿を見せなかったが、惨敗の原因になったものは、大半が国会議員と国政にかかわることだったと言っていい。

 官邸への「忖度(そんたく)」や首相の「ご意向」などと国会を騒がせた森友学園・加計学園問題、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法案審議での強引な国会運営、閣僚らの失言・不祥事など、「安倍自民」のおごりそのものではなかったか。国民はよく見ていて、「調子に乗りすぎている」と感じ、政権に不信感を持った結果が、都議選に反映されたとみるべきだろう。

 国政にかかわることが原因なら、選挙結果は国会が受け止めなければならない。自民党は閉会中審査に応じる方針で、前川前文科次官の参考人招致も野党に提案した。それはそれで歓迎するが、十分ではない。野党が憲法に基づいて要求している臨時国会をすみやかに召集する必要がある。

 「安倍1強」は盤石だろうか。安倍政権は「支持率の高さ」と「選挙の強さ」の二つで持っていた。最近の支持率は下がり、都議選でも大敗した。どちらもくずれると、求心力がなくなる。

 安倍首相は今後、内閣改造や自民党幹部人事で態勢の立て直しを図るつもりだろうが、小手先の対応では政権浮揚はままならない。首相が執念を燃やす憲法改正のような国柄を大きく変えるテーマは慎重に考えるべきだし、また現実に、進めにくくなるかもしれない。

 一方、小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファースト」は都議会第1党に躍進した。小池氏は党の代表を辞任したが、実態はトップとしてにらみをきかせるだろう。しかし、これで都民ファーストの議員らは、議会の場で知事にもの申すことができるのか。小池都政の追認で終われば、都民の期待は失望に変わると言っておきたい。

 都議選で自民票の受け皿になったのは都民ファーストであり、野党第1党の民進党ではなかった。獲得したのはわずか5議席。党がなぜ埋没したのか、こちらもきちんとした総括をしないと展望が開けない。党内の意見がバラバラで統一感がないのは長年の課題であり、最大の反省点だろう。まずは加計学園問題などの追及で先頭に立ち、国会で存在感を見せることが求められる。(横尾章)

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