韓国大統領選で当選を決め、ソウル中心部で集まった支持者に応える「共に民主党」の文在寅氏(左)=9日深夜(共同)

 韓国の大統領に文在寅(ムンジェイン)氏が就任した10日、佐賀県内の韓国人や日韓交流の関係者からは、政治の正常化や両国の友好関係の進展に期待を寄せる声が相次いだ。

 韓国西帰浦(ソギポ)市の職員で、姉妹都市の唐津市に派遣されている奇美京(キミギョン)さん(43)は4月末、福岡市の領事館で在外投票をした。開票から一夜明け、「政治が変わる」とほっとした様子で、朴槿恵(パククネ)政権下の混乱からの脱却を期待した。帰国して投票した佐賀大学の留学生高正植(コウチョンシク)さん(23)も同様の心境で、「政財界の癒着を断ち切り、雇用不安や所得格差を改善してほしい」と新大統領に注文した。

 文氏は対日強硬派とされ、選挙戦では慰安婦問題に関する日韓合意の再交渉を主張した。在日本大韓民国民団県地方本部の鄭清俊(チョンチョンジュン)団長(62)は「国と国が合意したことは誠実に実行してほしい。両国関係が緊張し、悪化する事態だけは避けなければ」と強調した。

 革新政権が日韓交流に影を落とすとの指摘もあるが、韓国からの観光客が急増する嬉野市の野辺田晋嬉野温泉観光協会相談役(75)の捉え方は異なる。「新大統領が竹島に渡った人というのは不安材料。でも、訪日客がそこまで政治情勢を気にするだろうか」

 佐賀女子短大の長澤雅春教授(59)=韓国文化=は「民間交流に大きな影響を及ぼすことはないだろう」と推測する。「韓国も個人主義が浸透しており、慰安婦問題も多くの国民は冷静に見ている。逆に日本のマスコミが『反韓』をあおらないか心配」と話す。

 佐賀空港のソウル便が11日から毎日運航されるのに合わせ、10日夕に訪韓した山口祥義知事は出発前、「革新政権は日本に厳しい態度を取った時代もあったが、今は東アジア情勢が緊迫し、友好が大事。県で韓国との地域交流をしっかりやっていきたい」という考えを示した。

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