2年後に日本で開催されるラグビー・ワールドカップ(W杯)の1次リーグで、日本はアイルランドやスコットランドと同じA組に入った。今後は全国12会場への試合の割り振りが注目される。日本戦のほか、海外から多くのファンを呼べる人気カードを巡っては、収入源と見込む主催者側と、開催を熱望する会場自治体の思惑が交錯する。

■期待

 「日本の人々だけでなく、アジア大陸にとっても特別な機会になる」。10日に京都迎賓館で行われた抽選会であいさつした国際統括団体ワールドラグビー(WR)のボーモント会長は日本開催の意義を強調した。W杯は1987年の第1回大会から欧州か、ニュージーランドなど南半球のラグビー伝統国のみで開催されてきた。第9回大会で日本が選ばれた背景にはアジア市場開拓の狙いがある。

 日本側も約40万人を見込む訪日客に熱い視線を送る。W杯はファンがひいきのチームを追って移動するのが一般的。2、3週間に及ぶ日本滞在も見込め、試合がない日を含め、観光による地域の活性化が期待される。

 組織委は全48試合のチケット売り上げ目標を200万枚と掲げる。海外に固定ファンが存在するとはいえ、大半は国内販売が頼み。日本が南アフリカから歴史的な金星を挙げた前回2015年大会で高まった国内人気は沈静化し、見通しは不透明だ。

 リサーチ会社インテージの調査によると、前回大会直後、51%から63%に急上昇した日本大会の認知度はその後低下し、今年3月には51%に逆戻りした。国内トップリーグも1試合平均の観客数は減少。W杯日本大会組織委員会の嶋津昭事務総長は「現在の国内人気が十分とは言えない」と認める。関係者によると、「準備は順調」と繰り返すWRの組織委に対する要求と関与は強まっている。ある組織委幹部は「大丈夫なのか、という焦りの表れだろう」とみる。

■配慮

 既に開幕戦は東京・味の素スタジアム、決勝は横浜・日産スタジアムに決まっているが、会場自治体にとって、今秋にも決定する残り試合の行方は最大の関心事だ。1次リーグの日本戦や強豪同士の対戦は人気の的だが、大会収入を左右する「ドル箱」でもあり、WRは4万人以上収容の会場でという目安を設けている。6月に日本代表のアイルランドとのテストマッチを開催する5万人超収容の静岡スタジアムの関係者は「満員の姿を見せて、会場を決める人たちに安心感を与えたい」と意気込む。

 8万人収容の新国立競技場が建設計画の見直しで使えなくなった影響もあり、収益確保の観点から「日本戦はできるだけ大きいところで」と言う国内関係者は多い。

 1次リーグでは各チームに移動で過度の負担をかけないようにするため、同じ組の試合会場は特定地域に集まる傾向がある。だが、各地の盛り上がりを念頭に、嶋津事務総長は「日本代表だけは別。(試合で)全国を走り回ってほしい」と語る。難しい調整の本格化を前に、ある自治体関係者は「五輪と違って全国で開催するのがW杯のはず。各地の盛り上がりに配慮してほしい」と注文を付けた。【共同】

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