児童減少が加速した学校とその隣接校の児童数の推移

■通学の安全理由に利用

 入学する小学校を隣接校区から選べる「隣接校選択制」を佐賀市が導入して10年を経過し、一部で児童の減少が進む「流出校」と、増加傾向にある「集中校」が出始めている。通学の距離や安全を理由に毎年、入学児童の約1割が利用している。付近に交通量が多い国道がある学校が敬遠される傾向にあり、導入直前と比べ、児童が4割減った学校もある。

 隣接校選択制は、地域の実情や保護者の意向に応じる通学区域制度の弾力化を目指すもので、国が1997年度に通知した。佐賀市は2003年度に協議を始め、06年度に県内で初めて導入、隣接する小学校を選べるようになった。

 導入初年度の利用者は62人で、全体の3・6%だった。制度の周知が進み、過去5年間は約1割に当たる200人前後が利用している。本年度は新入児童数2056人に対し、11%の227人だった。市立は35校あり、校数の多い旧佐賀市で制度の利用者が多い。

 市教委が本年度の利用申請者にアンケートで理由を尋ねたところ「兄弟が通学している」が最多の19・3%。次いで「近くて通学しやすい」が16・1%、「子どもの友人と同じ学校に行きたい」が9・2%、「通学路が安全」が9・0%。地域、保護者間での「評判」も9・0%だった。

 保護者、児童の通学利便性や安全性向上につながっているものの、一方で児童減少が進む学校がある。

 市中部のある小学校は、制度導入前の05年度は児童数615人だった。それまでは緩やかな減少傾向だったが、導入後は減少が加速した。本年度は356人になり、05年度と比べ259人減少した。

 この学校の通学状況をみると、校区外に通う児童は150人、別の校区から同校に通う児童は52人。差し引き98人が減少する計算になる。通学で国道を横断する必要がある校区では、通学路の安全を優先して別の隣接校を選ぶケースが多いといい、この学校も近くに国道が走っている。

 市街地の別の学校は、毎年40~50人が他の校区から通い、児童数は05年度541人から本年度は101人増の642人。同時期で隣接校をみると、588人から491人に減った。

 市学事課は周辺にマンションや住宅ができるなど、「人口が増えている校区がある」と強調する。市全体の児童数は08年度以降、毎年30~300人の幅で減少するなど、校区内の児童減少もあり、「制度による影響がどれだけあるか判断は難しい。通学の利便性向上に寄与しており、学校側からの問題提起もない。現時点では、制度の課題とは捉えていない」と話す。

 市教委は、小学校での隣接校選択制導入に合わせ、中学の学校選択制も検討していたが、通学路の安全面など小学生とは事情が異なるとして導入は見送っている。

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