日本政府が欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉で、EU産チーズの一部品目に低関税の輸入枠を設ける方向で最終調整に入ったことが4日、分かった。枠内の税率は10年以上かけて引き下げる。譲歩を呼び水に、EUの自動車関税は協定発効から7年での撤廃を求める。岸田文雄外相が欧州を訪問して5日にEUのマルムストローム欧州委員(通商担当)と再協議し、争点を一気に詰める構えだ。

 EUは6日の首脳協議で「大枠合意することが期待されている」と4日表明した。安倍晋三首相は国内の主要閣僚会議で早期妥結を指示し「農産品など守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めていかなければならない」と強調した。

 自民党は4日、重要な農産品の関税を確保するよう安倍晋三首相に申し入れた。その後の党対策本部で茂木敏充政調会長は、合意すれば国内生産者らの支援策の検討に着手する考えを表明した。

 低関税枠は一定の輸入量まで関税を優遇する仕組み。日本はEUが強いナチュラルチーズ(現行関税は最大29・8%)を含む枠とする一方、上限を超える輸入品の関税は維持する。チーズでは環太平洋連携協定(TPP)などに先例があり、EUの特産品を念頭に詳細を詰める。有力なチーズ産地名を日本の類似品に使えないようにして、ブランド保護も徹底する。

 ただ、EUはチーズの低関税枠を徐々に拡大するよう求め、日本車に課す10%の関税は発効から10年程度での撤廃を主張している。チーズ・車の歩み寄りをにらんで日本は木材、パスタなどの市場開放を決める。

 欧州での再協議は山本有二農相の同行も検討されたが見送り、岸田氏が代表して折衝する。自民党対策本部長の西川公也元農相は最終的には岸田氏や首相の政治判断になるとの認識を示した。【共同】

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