帝政ロシアにとって、シベリアは毛皮などの宝庫だったが、飢えと野菜不足での壊血病に悩まされたらしい。そこから日本との因縁も始まる◆作家、司馬遼太郎によれば、当時のロシアの日本への関心は、清国(中国)に対するのと同じで、領土よりもシベリアの産物を売り、代わりに食糧を買って、シベリア開発をうまく運びたいとの思惑からきていた(『ロシアについて』)。それが今に通じていることに歴史の巡り合わせを感じるが、先週の日ロ首脳会談の結果は、日本側のもくろみからは遠かった◆そこは、情報機関のたたき上げから元首になったプーチン大統領、百戦錬磨ぶりを見せつけた。米大統領選への横やりを狙ったロシアによるサイバー攻撃はプーチン氏の指示との疑惑も、さもありなんという気がする◆そうまでして勝たせたかったというトランプ氏は親ロ姿勢を強める雲行き。おまけに台湾の蔡英文(さいえいぶん)総統と電話会談をやってのけ、「一つの中国」を唱える国を挑発した。すると意趣返しなのか、中国は南シナ海で米国の無人水中探査機を奪うという展開に◆プーチン氏にトランプ氏、中国の習近平氏…。キャラが立つ独裁型ばかりだ。最近、誤算続きの日本外交。混迷する国際情勢は、ますます波高しである。ここは「安倍丸の舵(かじ)取りもしっかり」と、注文したくなる。(章)

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