佐賀県内で唯一、国際コンテナターミナルを保有している伊万里市の伊万里港が6月、貿易港としての国の開港指定から50周年を迎える。県や市など関係者が目指しているのは、アジアに開かれた拠点港としてのさらなる発展。新航路誘致など官民一体のポートセールス推進に向けた節目にしたい。

 「現在の定期航路で輸入航路はすべて伊万里港がファーストポート。中国、韓国から1~2日で到着し、荷揚げや保管の総費用は博多港より安く済む」。県港湾課の担当者は、九州の国際コンテナ港12カ所のうち取扱量で4位につける伊万里港の優位性をこう説明する。輸入を中心とした2016年のコンテナ取扱量(20フィート換算)は、これまで最高だった14年の3万1610本を上回る見通しだ。

 東シナ海に通じる伊万里湾の湾奥部に位置する伊万里港は波穏やかな天然の良港で、古くは有田焼の積み出し港として栄えた。関税法に基づく開港指定は1967年6月。アジアの経済成長が高まる中、97年に国際コンテナターミナル港の指定を受けた。2013年には水深13メートルの岸壁が完成。3万トン級の貨物船を受け入れる基盤が整い、荷揚げ作業を効率化する橋脚型の大型クレーンなども設置されている。

 九州の港では大陸への窓口として発展してきた博多港が断トツの規模を誇り、距離の近さなどを考えれば、伊万里港は健闘していると言ってもいいだろう。

 港の発展の原動力となるのは、やはり新航路の開拓だ。伊万里港の国際コンテナ定期航路は韓国・釜山航路でスタートし、現在は華南・韓国、大連・青島、上海を含めた4航路週5便が就航。加えて15年10月に国際戦略港の神戸港と結ぶ国際フィーダー航路が開設されており、北米や欧州などへの輸出拡大の可能性も広がっている。

 ただ、こうした好状況の中で関係者が危機感を感じているのは、博多港の機能強化だ。港に近い人工島(アイランドシティ)でコンテナ保管場所の拡張工事が進んでおり、最終的には最大130万本に拡大する見通し。巨大港に飲み込まれないように伊万里港の優位性を磨き、ポートセールスを強化することが重要となる。

 港の活況は地域経済を動かし、企業誘致の後押しにもなるだろう。県内のもう一つの貿易港・唐津港では近年、観光分野のクルーズ船の乗り入れが増えている。ともに西九州道の延伸などで福岡都市圏との時間距離を縮めており、相乗効果も期待できる。

 一朝一夕にはいかないとしても、関係者で新航路や荷主の開拓に努め、アジアに開かれた拠点港として確固たる地位を築いてほしい。新興国を中心にアジアの発展が加速する中、その可能性は広がっているはずだ。(杉原孝幸)

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