鳥栖市学校給食センターの天井板の一部が昨年4月の熊本地震で剥落した問題で、被災検証委員会は天井を吊(つ)る部材の緩みが原因とする報告書を市に提出した。一部施工ミスを認めたものの「被災の基本的要因ではない」と判断。結果として被災した瑕疵(かし)担保責任があるとして「市は施工業者に補修を求めるのが相当」と促した。

 焦点だった原因と責任について検証結果が示され、橋本康志市長は4日の定例会見で施工監理業者、施工業者と補修に向けて協議に入ったことを明らかにした。

 被災から一定の決着の方向性を見るまでに1年2カ月を要したが、被災確認時点で市が適切に対応していればここまで深刻化しなかった可能性がある。判断ミスを重ね事態を悪化させたのは、市の危機管理意識が極めて乏しかったため、と言わざるを得ない。

 最初のミスは昨年4月16日、鳥栖市が震度4の揺れに見舞われ、給食センターの天井が損傷したときだ。市教委は、建築を担った施工監理業者と施工業者を呼び被災状況を点検。その直後、議会に「専門家による検証を行った」と、あたかも第3者が点検したと受け取れる説明をしている。同6月議会では議員が建設時の関係者のみで検証したことで「甘くならないか」と指摘したが、「適切に施工された」と答弁している。

 ところが夏休みに別の業者が災害復旧工事に入ると、壁とボードの間に予定していたすき間が不足している箇所が次々に見つかった。ここで市教委は2度目のミスを犯す。施工業者にこっそり手直しさせようとしたのだ。このことが明るみになって工事はストップ。議会が「隠ぺい工作」と追及したのも当然である。

 これらを受けて、市教委は11月に職員3人を処分。市長、副市長、教育長が減給するまでに発展した。

 なぜ被災直後、天井を外して点検しなかったのか。施工ミスを隠したまま施工業者に手直しさせるのは論外と思わなかったのか。「給食センターを早く復旧させたかったから」と説明されても、だれも納得できまい。

 また、報告書提出の際、事前に要請していたにもかかわらず「市も受け取ったばかりで内容を把握していない」として記者会見と報告書の配布を拒否した。仮にそうであるならば検証委による会見を設定すれば済むことである。約1時間後に委員長の判断で検証結果を説明してもらえたが、市は今回の不祥事の当事者であり、市民に対し説明責任があることを全く理解していない。

 この他にも執行部の答弁が二転三転して議会が紛糾したり、業者から現場調査報告書が提出されていたのに「文書はない」と答弁して後に修正したりするなど、問題解明に誠実に取り組んでいるとは到底思えない対応があったことも厳しく指摘しておきたい。

 「震度4で壊れるはずのない」最新施設が被災してしまった深刻な事態にどう対応するかは危機管理の一つである。市内のある建設業者は「以前の市はもっと厳しかった」と言い、市議は「市役所全体が緩んでいないか。猛省が必要だ」と指摘している。次の危機に備えるため、今回の対応のあり方を組織として総括し、共有するよう求めたい。(高井誠)

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