インターポール・ワールドに日本企業が合同で出展した「日本パビリオン」=5日、シンガポール(共同)

■好況の東南アジア狙い 

 【シンガポール共同】国際的なセキュリティー展示会「インターポール・ワールド」が5日、シンガポールで始まった。情報セキュリティー関連の日本企業10社が共同で初めての「日本パビリオン」を出展。日本発のサイバー技術を、経済成長の著しい東南アジア諸国に売り込んだ。

 身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の被害が増えるなどサイバー攻撃への対処が国際課題となり、世界各国による最新技術の展示に注目が集まった。主催の国際刑事警察機構(インターポール)は、7日までの期間中に各国の警察や企業の関係者ら約1万人の入場を見込む。

 日本パビリオンはNPO法人「日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)」が企画。経済産業省が支援し、日本貿易振興機構(ジェトロ)を通じ最大1千万円の補助金が交付される。

 国内で使われるセキュリティーソフトの多くが海外製という状況の中、国産製品を育て自前の防御力を強化する狙いもある。

 日立システムズ、ラック、NRIセキュアテクノロジーズなどが出展。国内で多数の大手企業の導入実績がある国産ウイルス対策ソフト「yarai」を手掛けるFFRIの金居良治取締役は「今後、グローバル展開していく方針がある。こちらの企業もランサムウエアなどは気にしている」と販売拡大への意気込みを語った。

 インフォセックはサイバー攻撃の監視サービスを展示した。営業本部の松下めぐみさんは「この地域にどの程度のニーズがあるかを知りたい」と話した。

 展示会には34カ国・地域から226の企業が出展。韓国、イスラエル、フランスなど8カ国がパビリオンを出し、国際競争が厳しくなっている。

インターポール・ワールド シンガポールで2年ごとに開かれるセキュリティー分野の国際会議・展示会。国際刑事警察機構(インターポール)が主催し、2015年に初開催した。サイバー犯罪への対処が国際的な課題となる中、情報セキュリティーが主要テーマの一つとなっている。各国のセキュリティー企業が最先端の技術を紹介する。

■経産省支援、自前の防御力強化も

 【シンガポール共同】国産のセキュリティー技術を強化していくべきだという考え方が、政府内で強まっている。国際展示会「インターポール・ワールド」で民間企業が出展した日本パビリオンを経済産業省が支援したのもその一環だ。

 2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、サイバー攻撃対策が急務となっている。現在、日本で使われているセキュリティー製品の多くは海外製だが、「本当の緊急事態になった場合、対応が遅れるのではないか」(業界関係者)という指摘がある。

 政府は、15年度から電力や鉄道といった「重要インフラ」のシステムをサイバー攻撃から防御する技術の国産化プロジェクトも進めている。海外では、発電所が攻撃されて大停電につながった例もあり、国内でも危機感が高まっている。

 プロジェクトにはNTTや日立製作所、パナソニックといった大手企業や大学が参加し、共同で攻撃監視システムなどを開発している。

 研究成果は順次、製品化し20年には本格的に活用できるようにする方針。内閣府の担当者は「十分な能力を持つ日本製品を開発し、セキュリティー対策の選択肢をつくりたい」と話している。

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