「佐賀医人伝」を出版した佐賀医学史研究会の鍵山稔明会長(右)と青木歳幸事務局長

 幕末期の種痘導入や開業医免許制度の設立など、日本近代医学の発展を先導した佐賀の医学者を検証する「佐賀医人伝」を、佐賀医学史研究会(鍵山稔明会長)が発刊した。「変動期の偉人たちの思いを、佐賀のこれからに生かしたい」と、相良知安や伊東玄朴ら全国に名をはせる医学者から、地域医療を支えた人物まで掘り起こした。

 取り上げたのは明治以前に生まれた医学者を中心に126人に上る。地方の医療史を質量ともにここまで拾い集めた資料は全国的にも珍しいという。編集の中心となった研究会の青木歳幸事務局長は「当時、県内外で活躍した人材が豊富だったからこそ、これだけの人数を収めることができた」と、近代医学黎明期の佐賀の先進性を強調する。

 研究会は佐賀の医学史の顕彰を目的として2007年発足。10周年に当たり、史跡を中心に幕末・維新期の県内医学を紹介した「佐賀医学史跡マップ」(09年)を発展させる形で医人伝を作った。会員26人が県内の市町史や論文を読み解き、墓などの史跡を巡り、数少ない資料を集めて執筆し、先進性を傍証した。

 地域に貢献した医師らは、これまで詳しく研究されなかった人物も多い。佐賀の女性で初めて開業試験に合格した緒方トキ(1886~1960年)、日本初の薬学博士でフグ毒のテトロドトキシンを発見した田原良純(1855~1935年)らの多彩な活躍を記した。

 青木事務局長は来年の明治維新150年で本書を幕末佐賀の検証に使ってほしいとし、「なぜ佐賀が近代医学をけん引していけたのかもっと掘り起こし、これからの佐賀に生かしていけたら」と研究を続ける。

 A5判、263ページ、1500円(税別)。県内書店や佐賀新聞社で取り扱う。問い合わせは佐賀新聞プランニング出版、電話0952(28)2152。

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