タブレット端末を使用して開かれた神奈川県逗子市議会=2016年12月(同市提供)

 議場の机から紙の書類が消え、代わりにタブレット端末などを活用する「ペーパーレス化」を、全国で約60の市議会や区議会が進めている。コスト削減や利便性向上が狙いで、審議中に必要な情報をすぐに端末で調べられるため、議論の活性化にもつながるという。国会では日本維新の会が、ペーパーレス化の推進法案を通常国会に提出する準備を進める。ただ国、地方ともベテラン議員には抵抗感があり、拡大には時間がかかりそうだ。

 愛知県安城市議会は昨年3月から本会議場に原則として紙の資料は持ち込まず、タブレットを使っている。議員にも「図解がカラーで理解しやすい」と好評という。

 報告書や統計など「印刷物を手元に置きたい」という要望には応じており、9月までの半年で紙の資料は約1万5千枚と前年から半減。年間では約100万円の印刷代や人件費の削減を見込む。

 愛媛県西予市議会も今年4月から原則として印刷物の配布をやめ、年間150万円のコスト削減を目指す。情報漏えいを防ぐため、端末へ送る資料は個人情報を必要最小限に絞り込むといった運用ルールを定めた。

 全国市議会議長会によると、本会議などで電子端末を使える市・区議会は2015年末に全国で56あり、その後も増えて現在は約60になった。

 関心を持つ議会も多く、全国に先駆けて13年に導入した神奈川県逗子市議会は年に約40件の視察を受け入れる。

 一方でベテラン議員を中心とする「紙の資料のままでいい」という声も根強い。さらに“大物”とされる議員ほど、議案説明のため資料を携えて訪れる職員が減ることを気にしがちという。

 地方議会の中でも、都道府県は議員数が多いため意見集約が難しい。町村は新規事業に使える予算が少なく、ともに導入が進んでいない。

 電子端末などシステム導入を支援する東京インタープレイ(東京)の担当者は「ペーパーレス化の浸透は、議員や市民の理解を得ながら、段階的に進めることが鍵になる」と話している。【共同】

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