高齢ドライバーの重大事故を防ぐため、75歳以上の運転免許保有者に対し、記憶力や判断力の認知機能検査を強化する改正道交法が12日、施行された。3年に1度の免許更新時の検査で「認知症の恐れ」と判定された場合には、医師による診察を受けることを義務化。逆走や信号無視など18項目の違反をしたときも、臨時検査を受けなければならない。

 初日となったこの日は、栃木県鹿沼市の県運転免許センターで、改正法施行に備え改修したシステムに障害が発生、免許証の交付業務に遅れが出るトラブルもあった。

 警察庁によると、2015年は4027人が医師の診察を課せられ、うち1472人が認知症として免許取り消しや停止の処分となった。新制度では年間の受診者が約5万人、処分者も約1万5千人に膨らむと予想。事故予防に効果が期待される一方、医師との連携や車の運転ができなくなった高齢者の交通手段の確保なども課題となる。

 検査は楽器や動物などのイラストを見て、一定時間の経過後にどの程度記憶できているか確認したり、指定された時刻の時計の絵を描いたりする。その結果を基に「認知症の恐れあり」を第1分類とし、「認知機能が低下している恐れあり」を第2分類、「認知機能が低下している恐れなし」を第3分類とする。

 法改正前も3年に1度の検査は実施していたが、第1分類でも、一定の違反をしなければ医師の診察は必要なかった。このため、次の検査までの間に認知症が進み、重大事故を起こす危険があるとの指摘があった。

 新制度では、検査で第1分類と判定された人は速やかな医師の診察が義務付けられ、認知症と診断されれば免許の取り消しか停止となる。第2分類でもドライブレコーダーを使った個別指導を含む3時間の講習が課せられる。第3分類は2時間の講習を受ける。

 警察庁の統計では、75歳以上の運転免許保有者数は高齢化社会の進行で増加傾向にあり、昨年末段階で約513万人。昨年の75歳以上の死亡事故は459件で全体の1割強を占め、うち31人が直近の認知機能検査から事故までの間に臨時の認知機能検査の対象となる違反を行っていた。【共同】

 ■改正道交法 相次ぐ高齢者による重大事故に対応するため、75歳以上の運転免許保有者の認知機能検査強化を柱とし、2015年6月に成立した。中型免許の区分を車両の総重量で5~11トン未満から、7.5~11トン未満に変更した上で、3.5~7.5トン未満が対象となる「準中型免許」も新設。取得年齢を中型免許は20歳以上に維持する一方、準中型免許については18歳以上とし、人手不足が続く運送業界の人材確保につなげる狙いがある。ただし、施行前に普通免許を取得していれば従来通り5トン未満まで運転できる。

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