南内郭のクスノキ

 今年も新緑の美しい季節がやってきました。光る緑を眺めるだけですがすがしい気分になります。特にクスノキの緑には透明感を感じます。肥前風土記には、佐賀にはとても大きなクスノキが生えていたことが書かれています。また、ヤマトタケルノミコトが御巡幸された際、クスノキの栄えたありさまを見られて「この国は栄の国と呼ぶがよかろう」と言われた言葉が、現在の佐賀になったということです。もちろん佐賀の県木はクスノキです。

 日本書紀には、スサノオノミコトがひげを抜いて散らすと、それがスギになり、胸毛を抜いて散らすとヒノキになった。尻の毛がマキとなり、眉毛がクスとなったとあります。そしてこれらの用途を「スギとクスは舟にせよ。ヒノキは美しい宮をつくる材にせよ。マキで棺(ひつぎ)をつくれ」と指示しています。

 吉野ケ里遺跡からはクスノキで作った臼が発見されていますし、千代田町の黒井遺跡出土の刻みはしごもクスノキでした。吉野ケ里の弥生人たちもきっとクスノキの新緑を眺めたことでしょう。それを思うと二千年の時間が一気に縮まった気がします。ちなみに、北内郭の主祭殿はヒノキでつくられています。(福田幸夫・吉野ケ里ガイド)

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