無断転載被害について説明する写真家の有賀正博さん=2016年12月、東京都内

 IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が休止したことで注目を集めた「まとめサイト」。インターネットに散らばる情報を手軽に把握できるため多くの人が閲覧する一方、他の媒体で活躍するライターや写真家からは「記事や画像を盗用された」と訴える声が上がる。識者は著作権法違反の可能性を指摘するが、「違反があるとしても責任は投稿者にある」との立場を取るサイトは多く、事実上放置されているケースもある。【共同】

▽無断で大量

 「何でこんなサイトに…」。2015年、旅行雑誌などで活躍する写真家有賀正博さん(52)は大手まとめサイトに自分の写真を見つけた。ヒマワリが一面に広がる12年の写真。撮影は苦労した。開花を見計らってスペインに飛んだものの、例年にない天候でほとんど枯れており、レンタカーで走り回って撮った。時間をかけた1枚だ。

 以前から、個人のサイトなどでの無断転載は見聞きしていたが、今回は他人の作品を公然と大量に載せ、広告も付いている。悪質さに憤り、見つけ次第、サイト運営者に削除や使用料を求めるようになった。しかし、一部は使用料支払いに応じないという。

 日本でのまとめサイトの先駆けとされる「NAVERまとめ」は09年にサービスを始めた。流行を分かりやすくまとめ、広告を付けるスタイルで人気に。14年秋、住まい情報の「iemo(イエモ)」と女性ファッション情報の「MERY(メリー)」がDeNAに高額で買収されたのと前後し、サイトが乱立した。

▽粗製乱造

 妊娠出産情報サイト「ニンプス」を運営する高沖清乃さん(42)によると、最近2年は、記事1本を公開する度に20~30のまとめサイトでそっくりの記事が掲載された。一部を切り貼りするなど粗製乱造された結果、不正確になった記事も多いが、ニンプスより検索の上位に並んだ。

 ニンプスは執筆を経験豊富なライターが担い、医師ら専門家が内容をチェックしてきたという。高沖さんは「手間を掛けただけ損する」と話す。

 相当数が著作権法違反の可能性を以前から指摘されているが、高沖さんらが抗議しても、サイト運営者の多くは該当記事を削除する一方、「投稿者に場所を貸しているだけだ」として責任を否定。利用規約にもその旨を記している。

 DeNAの問題発覚後、複数の運営者が改善を表明したが、高沖さんは「『つくる』行為を甘く見ている」と冷ややか。有賀さんは「他人の作品でもうける仕組みそのものが問われるべきだ」と力を込めた。【共同】

 =DeNAまとめサイト問題=

 ディー・エヌ・エーが運営する医療や育児、ファッションなどのまとめサイトの記事や写真に他メディアからの無断転用や内容の誤りが多数見つかり、「WELQ」「iemo」「MERY」など、全10サイトを休止した。外部のライターに無断転用を促すようなマニュアルの存在も判明。社長が謝罪し、第三者による調査委員会の設置を表明した。類似の問題はヤフーやサイバーエージェントなど他のIT大手でも発覚し、サイト記事の公開中止が相次いだ。

■運営者に法的責任も 引用メインなら問題

 著作権に関する著書がある横溝昇弁護士に、まとめサイトの問題点を聞いた。

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 ネット上の記事や写真にも著作権は発生する。無断でコピーしたり、サイトで公開したりすれば、著作権に含まれる「複製権」や「公衆送信権」の侵害になる。文章の丸写しはもちろん、「てにをは」を変えたり、文章の順番を多少入れ替えたりした程度でも違法だ。

 まとめサイトの記事の多くは「引用」の形を取っている。引用は著作権を持つ人に使用許可を得なくても良い例外に該当するが、(1)引用部分とそれ以外の区別が明確(2)引用以外の部分が記事のメインを占める「主従関係」がある(3)出所を示す-などの条件を満たさねば引用とは言えず、独自の記述がほとんどない記事は要件を満たさない。現状ではまとめサイトの相当数の記事に、著作権侵害の可能性がある。

 著作権上の問題が生じた際、サイト運営者は「記事を作成したライターに責任がある」と主張しがちだが、問題性を知りながら放置した場合はどうか。ネットの匿名掲示板に書き込まれた誹謗(ひぼう)中傷を放置したとして、掲示板の運営者が損害賠償を命じられた裁判例があるように、運営者が法的責任を問われることも十分考えられる。ネットで大容量のデータを送信し、簡単に情報をコピーして使えるようになって間もなく、「ネット上の情報は自由に使って良い」という雰囲気があるが、間違いだ。まとめサイトが便利でも、もともとの作者に利益がなく、まとめた側だけが利益を得る仕組みはまずい。規制や法整備が求められる。

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