佐賀市が取得する「精煉方跡」

 佐賀市教育委員会は12日、佐賀藩が幕末期に設置した理化学研究施設「精煉方跡(せいれんかたあと)」のある民有地を取得する方針を明らかにした。近代化遺産として歴史的価値が高いとして、市有地化して史跡を保全する。市教委は2009年度に発掘調査したものの、研究施設があったとされる場所は住宅があったため十分に調査できなかった。取得後、本格的に調査する。

 取得予定地は、佐賀市多布施3丁目にある1万6800平方メートル。精煉方は1852(嘉永5)年、長崎警備を強化するため西洋技術の研究、導入を進めていた佐賀藩が整備した。

 蒸気船や蒸気機関車のひな型を製作したほか、大砲製造に必要な薬剤や硝煙などの基礎研究や実験を行った。研究成果は佐賀藩の大砲や蒸気船の製造に生かされ、日本の近代化に貢献した。世界文化遺産「三重津海軍所跡」(諸富、川副町)で、国内初の実用蒸気船「凌風丸(りょうふうまる)」を完成させることにもつながった。

 市教委によると、用地取得はこれまでも断続的に協議していた。地権者は複数おり、昨年11月、土地の大部分を所有する地権者から譲渡の打診があり、大筋で合意した。他の地権者とは交渉中で、取得額は明らかにしていない。民有地には現在、地権者宅や借家があり、借家の移転が終わった状態で佐賀市が取得する。9月議会に関連議案を計上する。

 市文化振興課は「近代化遺産として貴重な史跡で、保全を第一目的に取得する。佐賀藩の近代化の歴史を学べるような場所として整備することも検討したい」としている。

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