寒さが本格的になってきた。きょうは「冬至」。1年のうちで昼が最も短く、これから日は長くなっていく◆この日にはお風呂にユズを浮かべ、小豆粥(あずきがゆ)やカボチャを食べるのが、古(いにしえ)からの風習だ。赤や黄色は太陽を連想させる。一日一日と陽の気がまた満ちてくるスタートとして、前向きにとらえたい◆この時期の食べ物として懐かしさを覚えるものに焼き芋がある。その昔、江戸時代中期あたりから、江戸のまちで名物になった。明治に入ると東京では多くの焼き芋屋ができ、屋台車をひき、夜間売り歩いたらしい。それが全国に広がる◆石焼き芋屋さんは、もう佐賀でも珍しくなったが、佐賀市内を車で行商するYさん(70)はこの道45年。鉄の箱に詰めた小石に芋を埋めて焼く昔ながらの方法で売る。30年前までは、夜は3時まで飲み屋街で頑張り、1日で100キロ売ったことも。「店に飲みに行くのに、お客さんが買って持っていく。よう売れよったなあ」◆値段は変えてないが、スーパーでも売る時代になり今は15キロほど。往事の勢いはなくても、ほっこり熱々の食感を求めて常連客が待っていてくれる。香ばしい匂いがたまらない。「芋のおいしかったよ、の一言がうれしい。体が動くうちは頑張る」。Yさんはこれからがかき入れ時だ。<焼藷(やきいも)の車に寒さつきまとふ>百合山羽公。(章)

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