筑後川で初日の出を拝むのは久しぶりである。東の耳納(みのう)山地から厳かに昇る大きな太陽。その神々しい輝きに、身も心も浄化してくれるようなありがたさを感じる。幼い頃から慣れ親しんだこの川は、いつ来ても気持ちが良い。それは川幅や空の大きさが、包み込むような安心感を私に与えてくれるからである。

 先日、あるテレビ番組での話。京都嵐山の風景がなぜ美しいかという話題でのこと。それは風景が仰角30度に収まり、背景の山と前景の平地が接する縁(へり)があるから美しいとのことであった。この筑後川には山はないが、いくつもの広がりのある水平線の縁がある。水面と潟面、葦原と堤防など水平な縁が多い。水際、山際、木立や草の生え際をしっかり描くのがスケッチの基本。美しい風景にはちゃんとした縁がある。今年も自然から謙虚に学ばせていただこう。

(山田 直行・佐賀女子短期大学名誉教授)

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