林真実さん

■使いすぎない習慣大事

 九州電力の原発が全基停止して初めて迎えた夏、家庭も事業所も節電要請への対応に追われた。福島第1原発事故の翌年、2012年のことで、消費生活アドバイザーとして具体的な対処法を市民に助言した。

 「省エネという言葉が浸透していても、電力需要のピーク時の使用量を減らす節電手法にはなじみがなかったですよね。家庭で電気ポットや炊飯器の使用時間帯をずらしたり、工場が操業時間を調整したり、あちこちで試行錯誤が続いた」

 節電に関心のない人にどう興味を持ってもらうか。当時暮らしていた三養基郡基山町で、ろうそくの明かりで夜を過ごすイベントを始めたのはこのころだ。

 「省エネを意識した取り組みは増えた。電力消費を抑える家電の開発や、住宅へのさまざまな補助制度。不動産業界の人に数年前、省エネ家電付き『エコ賃貸住宅』を提案したらきょとんとしていたけれど、今は興味を持ってもらえる」

 「節電」の掛け声は以前と比べたら目立たなくなった。それでも電力の需給バランスを保つには、備えは欠かせないと考えている。

 「消費者はあの夏、コンセントの向こう側に想像を巡らせた。原発にリスクが伴うことも実感した。電力の危機が再び訪れないとも限らないから、使いすぎない習慣は大事にしていかないと」

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