英検準2級を取得した森翔太さん(右)と指導に当たった爲永直教諭=佐賀市の県立ろう学校

■教師と二人三脚 聞き取り、発音工夫重ね

 耳が聞こえにくいため県立ろう学校高等部で学ぶ産業工芸科3年の森翔太さん(18)=佐賀市=が実用英語技能検定(英検)の準2級を取得した。聴覚障害はリスニングや発音など英語学習のハードルが高いが、森さんは教師と二人三脚で努力を重ね、目標にしていた在学中の合格を達成した。

 英検は耳が不自由な受験者にさまざまな特別措置を設けている。森さんは1次のリスニングは字幕テロップを見て解答する方式、2次の面接はカードに示された英文を見て口頭で答える代替方式で受験に挑んだ。

 森さんの場合、子音、特にc、sh、chなどの無声子音が聞き分けにくい。発音にも困難が伴う。特別措置がある一方で、正しい発音を身に付けるには音声情報が欠かせないという。このため学習は教科書を開く前に、まず音声で聞いた英文を書き取りするところから始まる。先生が読み上げる口の形をみて補足し、何の単語か分からない音はカタカナで書いておく。最後に字幕付きの音声で確認し「照らし合わせる作業」を繰り返してきた。

 英語の授業が始まった中学生のころは「聞き取れないことが悔しかった」と森さんは言う。それでも地道に勉強し、「分かるようになると楽しくなった。何よりきっかけをくれた先生に感謝したい」と振り返る。指導に当たった爲永直教諭(52)は「聞こえにくさや発音の難しさでコミュニケーション自体をためらうほど、聴覚障害者にとって言語の習得は簡単なことではない。努力が実って本当にうれしい」と喜ぶ。

 森さんは14日、幼稚部から通ったろう学校を卒業し、4月からは愛知県で就職する。将来はイギリスやアメリカに行ってみたい場所があるといい、「どこまで通用するか分からないけど、勉強した英語の力を試してみたい」と話す。

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