厳木市民センターなどの複合施設と認定こども園の建設計画がある選果場跡地(信号奥)。奥は厳木ダム=唐津市厳木町中島

■職員6割減 けん引力なく

 「前から『厳木が死による、死による』って言ってたんですよ。今回、若いお母さん方に風穴を開けていただいてよかった。行政の方は耳と目を開いて前向きに取り組んでほしい」

 昨年10月、唐津市厳木町で母親グループが保育施設建設を巡り企画した地域住民の勉強会。最後に主婦池田禮子さん(71)が思いの丈をぶつけた。

 厳木町では市立の幼稚園・保育園3園を統合民営化し、2019年春に認定こども園を新設する計画がある。予定地には市民センター(支所)やコミュニティセンター(公民館)などを集約した複合施設も建設される。「こども園と複合施設の一帯を魅力ある場所に」。母親たちの願いに町民ら約100人が耳を傾けた。

 母親たちは署名集めでこども園の場所を変更させ、要望書で園を運営する業者選定の要件緩和につなげた。「まちをよくしたいという思いが何よりうれしかった」。池田さんは合併後、旧町村の支所に覇気がなく、地域から活気が失われていると不満を感じていただけに、母親たちの活動がまぶしく見えた。

 合併から12年。旧6町2村をけん引していた各役場は様変わりした。市民センターに名を変え、当初の6課体制は3課体制に。トップが部長級から副部長級となり、職員も当初の計775人(市全体1716人)から298人(同1334人)と6割も減った。行政のスリム化が進むほど市民サービスは低下。支所を訪ねても「本庁でないと…」の“壁”に遭い、周辺部の悲哀を痛感した市民は少なくない。

 深刻化する人口減少社会に備え、市は3年前に「支所のあり方」の指針をまとめた。旧町村単位を基本に残し、組織は福祉から防災まで小規模多機能型、庁舎はコミュニティーの核となるように複合施設とする内容。これに沿い、築50年以上の浜玉、相知、厳木町で支所の建て替え論議が進んでいる。

 呼子町では老朽化した公民館に合わせ、隣接する市民センターとの複合施設で現地建て替えが一時検討された。だが技術的な問題などから断念し、新公民館は旧呼子中跡地に単独移転。呼子町と鎮西町の両市民センターは直線で約2・5キロと近く、中間点に位置する新公民館は、将来的な支所統合の布石のようにも映る。

 旧郡部の地域づくりに行政がどう関わるのか。住民意識の醸成も含め再構築の時が来ている。まちづくりに汗する呼子町地域婦人会の谷口繁美会長(66)は「住民がやる気を起こさないと地域は活性化しない」と自助努力を説きながら、「支所にはそのヒントや手掛かりを与える職員にいてほしい」と注文する。

 各地の建て替え論議は、支所のあり方、地域の拠点づくりを地元から問い直す機会になる。

◇    ◇

 合併当初から12年続いた坂井市政に幕が下りる唐津市。新たなリーダーを選ぶ市長選(22日告示、29日投開票)を前に、市政の現状と課題を報告する。

=2017唐津市長選=

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