除染で生じた土の再利用に向けた環境省の実証試験の準備作業。奥には除染土が詰まった黒い袋が積み重なっている=2月、福島県南相馬市小高区

 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染で生じた土を全国の公共工事で再利用するため、環境省は4月にも除染土で盛り土を作って放射線量を測る実証試験を同県南相馬市で本格的に始める。安全性を確認した上で再利用につなげたい考えだが、再利用先の周辺住民の理解が得られるかどうかは見通せない。

 環境省は昨年6月、管理責任が明確で、長期間掘り返されることがない道路などの公共工事に限定し、放射性セシウム濃度が基準以下となった除染土を再利用する方針を決定。工事中の作業員や周辺住民の被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となるよう、1キログラム当たり5千~8千ベクレル以下に設定した。

 さらに土やコンクリートで覆い工事終了後の住民の被ばく線量を年間0・01ミリシーベルト以下に抑える。

 昨年7月に避難指示が解除された同市小高区の「東部仮置き場」。柵で囲まれた広大な敷地に除染土が詰まった黒い袋が大量に積み重なっていた。その一角にある盛り土の予定地付近には重機が並び、「再生資材化プラント」では放射性物質の飛散を防ぐテントの建設作業が進んでいる。

 実証試験は、仮置き場に保管された平均値で1キログラム当たり2千ベクレル程度と推計される除染土約千立方メートルを使う。分別して品質調整した除染土を遮蔽(しゃへい)のため別の土で覆って盛り土を作る。放射線量や浸出水の放射性物質濃度を測り、風雨の影響がどの程度あるか調べる。

 「目の前の仮置き場にいつまでも黒い袋があるから、家に帰る意欲がそがれる。袋が減るなら再利用も仕方ない」。避難先から東部仮置き場近くの自宅に戻っていた男性(68)は悩ましげだ。

 福島県内の除染廃棄物の量は、最大で東京ドーム18杯分に当たる2200万立方メートルに上ると推計される。中間貯蔵施設(同県双葉町、大熊町)で保管後、県外で最終処分する予定だが、全てを処理するのは難しいため、再利用で量を減らすのが環境省の狙いだ。

 南相馬市の担当者は「大量の土を中間貯蔵施設へ輸送するだけでは、仮置き場の解消に長い年月がかかる」と説明。市は仮置き場の早期解消のため、比較的濃度の低い除染土について、市内の海岸防災林や高速道路の工事での再利用の可能性を探っている。

 ただ、再利用先の住民が放射性物質への不安から、受け入れに反発することも予想される。男性も「除染土が流出したり、飛散したりしないかが心配だ。責任を持って管理してもらわないといけない」と懸念する。

 福島県外では、住民理解のハードルがさらに上がるのは必至。これまでの環境省の有識者検討会では、専門家から「県外での再利用は簡単ではない」「技術開発を進めても、実際の再利用先がなければ意味がない」との意見も上がった。

 環境省は実証試験前に仮置き場周辺の住民への説明会を開いており、現場の見学会も開く予定。担当者は「実証試験で安全に管理する方法を検証し、住民に理解してもらえるようにしたい」と話している。【共同】

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