トランプ次期米大統領が、メキシコなどに工場を建設する企業を「米国に工場を造るか、高関税を払うか、どちらかだ」とどう喝しています。

 Q トランプ氏が怒っているのはなぜですか。

 A 米国はメキシコ、カナダと北米自由貿易協定(NAFTA)を結んでいます。自動車などが無関税で輸出できるため低賃金のメキシコに工場が流出し、米国の雇用が失われたと批判しています。

 Q 実際に高関税をかけられるのですか。

 A 米国も世界貿易機関(WTO)に加盟しており、協定で例外的に認められた場合のみ関税の引き上げが可能です。具体的には(1)輸入急増を受け国内産業を保護する場合(セーフガード)(2)輸入品の価格が不当に安い場合(反ダンピング税)(3)輸出国政府が補助金で競争力を増している場合-で、(3)を中国に適用するとの見方があります。為替操作国と認定して人民元安を補助金とみなすからくりです。

 Q 大統領の一存でできるのですか。

 A 米国では通商政策の権限は基本的に議会にありますが、1990年代の日米自動車協議では通商法「スーパー301条」を大統領の判断で適用し、日本車に100%の高関税をかけて逆に日本に市場開放を迫りました。今では制裁目的の関税引き上げは、WTO協定違反になると考えられますが、トランプ氏がこれに代わる手だてを講じてくる可能性が指摘されています。

 Q 対抗手段は。

 A 関税引き上げを受けた輸出国はWTOに提訴できます。協定違反の最終判決が出たにもかかわらず関税を引き下げない場合は、他の物品に高関税を課すなどの対抗措置が相手国に認められます。

 Q トランプ氏はNAFTAの内容を見直す再交渉を主張しています。

 A 再交渉は可能ですが、高関税を課せば高い自動車を買わされる米国民が損をする面も無視できません。国内で企業による行政訴訟が多発する可能性もあります。【共同】

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