<君(きみ)に勧(すす)む/更(さら)に尽(つ)くせ/一杯(いっぱい)の酒(さけ) 西(にし)のかた陽関(ようかん)を出(い)づれば/故人無(こじんな)からん>。中国・唐代の詩人、王維(おうい)の名詩の一節である。李白の「送友人」とともに、送別の詩の双璧といわれる◆王維が辺境に赴く友人を長安の西北まで見送って作った。<さあ、もう一杯飲みたまえ。これから西へ向かい陽関(西域との境界にあった関所)を出たなら、もう親しい友人もいないのだから>。友人に向け、こみ上げる惜別の情を歌っている◆今月は送別会の季節。異動する人、退職する人とさまざまだが、友人や同僚との別れの寂しさと感謝の気持ちでいっぱいになる。先日、佐賀新聞ひろば欄の「手鏡」に、長年タクシー運転手として働いた夫の送別会のことを妻が投稿されていた。退職前に、お客の3グループから送別会をしてもらったという心温まる話だ◆慕われ、惜しまれての退職だった証しだろう。長い間の乗務の中には、困ったお客に憤慨したい場面もあったかもしれない。安全運転は無論のこと、お客に誠実に対応されていたに違いない。支えられたお連れ合いにもねぎらいの言葉をかけたくなる◆去っていく人に、上手に感謝や激励の言葉を伝えたい。本や歌の一節を色紙にして贈るのもいい。サプライズの家族からの手紙に大感激したという話もある。送られる人の次への励みになろう。(章)

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