正月を挟んで唐津の暮らしを満喫する木村さん夫妻=唐津市内の「お試し移住住宅」

■定住決意の30代夫婦も

 神戸市の木村雅彦さん(58)祐美さん(49)夫妻が正月を挟んで1カ月、唐津の暮らしを体験している。唐津市が移住促進プロジェクトで昨年8月から始めた「お試し移住」の応募者だ。これまで5組が利用し、30代の若い夫婦が移住を決意するなど、移住へのステップとなっている。

 元日、木村さん夫妻は海沿いを波戸岬から玄海町方面へドライブし、ぐるっと回って鏡山神社に初詣、虹の松原や唐津湾を眺望した。「神戸だと初詣は人が多いだけで、三が日どこにも行ってませんでした」。ゆっくり正月風情に浸った。

 2人は昨年12月17日から唐津市が中心部の住宅地に用意した3DKの平屋で暮らす。家電や寝具など一式がそろっていて、光熱費やインターネットも無料。マイカーで来たが、「荷物は着替えとパソコンぐらい」。最長期間の1カ月となる16日まで滞在する。

 神戸では工業品を扱う商社を経営し、マンションで暮らす。現役世代にとって移住は仕事の確保が大きなハードルとなるが、木村さんはメールとファクス、携帯電話で注文や連絡に対応。「仕事上は何も不自由はない」と話す。

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 お試し移住はこれまで大阪の60代と70代の夫婦2組をはじめ5組が体験した。実家が福岡県でハワイで暮らしていた30代の夫婦は海沿いの町で農業がしたいと応募し、移住を決意。現在、アパートに仮住まいしながら農業法人で働く。

 下調べはしていても、いきなり見ず知らずの地に移り住むのは不安が大きい。担当する市企画政策課は「まず短期間でも地域の人柄や風土に触れることで、後々のトラブル防止にもなる」と話し、体験者の感想は「田舎でも大都会でもないところがいい」「スーパーの品ぞろえをはじめ食材がいい」と好印象という。

 本年度の申し込みは既に満杯で、3月末まで静岡と東京の70代、60代のシニアがそれぞれ1カ月、唐津暮らしを体験する。

 ただ、すぐ移住に結びつくわけではない。木村さんは「完全移住となると厳しい面があるが、仕事と暮らしの拠点を双方に置く『2拠点移住』なら、唐津はぴったり」と話す。

 人口縮減時代を迎え、地方にとって定住、交流人口の確保、増加策が大きな課題となる。お試し移住は行政にもヒントを与えてくれそうだ。

=メモ=

 唐津市の「お試し移住」は唐津への移住を考えている市外の夫婦や家族が対象。市の委託を受けたNPO法人が生活をサポートする。来年度も実施予定。問い合わせは市企画政策課、電話0955(72)9115。

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