アリは身近な生き物なので、昔から寓話(ぐうわ)の主人公で登場する。イソップ物語にこんな話がある。あるところに、畑仕事に精を出し暮らしている人がいた。けれど、自分の作物に満足せず、他人の収穫をうらやんでは、近所の人の作物を盗んでばかり◆神様は、その欲張りに怒り、罰として姿をアリに変えてしまった。でも習性は元のままなので、アリになっても、はい回りながら他人の畑で麦を集めてきては巣の中にしまっておくのである-。もともとたちの悪い人たちは、どんなに懲らしめられても生き方を変えないと、この話は教えている◆時にありがたくない描き方をされたアリだが、こちらもやっかいである。南米原産の毒アリ「ヒアリ」が神戸、名古屋、大阪、そして東京の各港で相次いで見つかった。中国南部から来たようだ◆まぎれて貨物船などで移動し米国や豪州、中国、台湾などにすみついている。大阪、神戸では女王アリも確認され、巣を作り繁殖している恐れも出てきた◆アリは世界で1万3千種類が知られる。昆虫を捕まえて食べるものから、特定の生物との共生関係にあるもの、自分たちではほとんど働かず、手下を使って生活する種類と多種多様である。やってきたアリが人と共生できないのなら、水際で駆除し封じ込めるしかない。招かざる客とは知恵比べだ。(章)

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